許斐先生の説明通りに解釈すると、「ボールを直接観客席にブチ込んだら勝ちになった」としか思えない不二先輩の「星花火」。でもまあ、常識で考えたら仁王側コートでワンバウンドしてるよなー、ということで僕は納得し、また、ゆめのさんの図説を見て、「ウン、これなら初見だとビビって仁王も取れないんじゃないかな」と思ったわけですが……
No.5「かがみさん、星花火、おかしいですよ」
かがみ「何が？」
No.5「ワンバウンドしてるなら、ただの高いロブじゃないですか」
かがみ「いや、バウンド後に客席に飛んでいくから取り辛いんだよ」
No.5「そんなん、誰だってあんなに高くロブ打てば、高く弾んで客席に入りますよ。やっぱりアレ、ただの高いロブですよ……」
かがみ「…………(´・ω・`)」
というわけで、結局、「字義通りに解釈するなら、あれを仁王が取れないのはおかしい」ということになりました。出会い頭の奇手に仁王少年がビックリしてたまたま点を取られたならともかく、「何さらしとんじゃ、か…返せんぜよ」と、彼はノヴ先生ばりに心が折れています。たかが「高いロブ」で仁王少年の心を折ることはできません。星花火には「高いロブ」以上の何かがあるはずです。
で、喧々諤々の議論を重ねたところ、以下の３つの説のどれかではないかという結論に達しました。
１、風圧説（byテニススレ）
No.5の友人いわく、テニススレで一番説得力のあった意見がこれだそうです。即ち、不二先輩は実はボールをラケットで打ってはいない。ラケットの風圧のみでボールを客席に直接放り込んだため、「仁王が自分で客席に放り込んだ」という扱いになり、不二先輩のポイントになるというものです。いわば、派手な手塚ファントム。これなら仁王少年の心が折れるのも納得できます。ただし、作中で「強烈に打ち上げ」と、ラケットとボールが触れていることが明確に示されているため、理論的には完璧ですが、この線は可能性が低いと思われます。
２、言霊説（by No.5）
いかに高いロブとはいえ、立海ほどのテニス使いたちがバウンド後の球を叩けないとは思えません。しかし、実際に仁王少年の心が折れたということは、星花火には何らかの「叩けない仕組み」があったはず。それは言霊ではないか？という説です。つまり、星花火の軌道は「バウンドしたボールは客席に入る」という言霊に支配されており、ボールはバウンドした時点で因果律が決定され、確実に客席に入る、仁王には叩けない、というものです。No.5は自説を披露後、「星花火とは呪詛の一種なんですよ！」と意気揚々と語っていましたが、僕には彼が気が狂ったとしか思えませんでした。
３、滞空時間説（byかがみ）
そして、上記２つと比べて、よりスマートなアイデアが僕の「滞空時間説」です。仁王少年の心は「星花火」のどこに折れたのか？ 僕は「仁王の視界から消える」という点だと考えました。つまり、仁王少年の視界から消えたボールは、一体いつ現れるのか、仁王少年には分からないのです。１秒後かもしれないし、１分後かもしれない。１時間後かもしれないし、もしかしたら、１日後かもしれず、さらには１ヵ月後の可能性すらあるのです。不二先輩は一度星花火を上げてしまえば、後は悠然と構えていればOKです。しかし、仁王少年はいつ落ちてくるとも分からぬ星花火に対し、常に集中力を維持し続けなければなりません。
不二「喰らえ、星花火！」
仁王「なッ、ボールが視界から消えた！」
不二「クックック……。では僕はゆるりと待たせてもらおうかな」
不二、コート内にキャンプを設営。
ラーメンを作り出す。
さらにウン十時間経過。
寝そべってお菓子を食べてる不二。
不二「ククク……、どうした仁王。そろそろ腹が減ってきたか？ 眠いか？」
仁王「き、貴様っ……！」
不二「ほうれ、貴様にも菓子を恵んでやろう」
不二、ハッピーターンを仁王に投げつける。
空腹に耐え切れずハッピーターンを手にし、食べようとする仁王。
不二「クックック……、いいのか、仁王？ 貴様が食べている間にも、星花火がコートに落ちるやもしれんぞ。僕が貴様に慈善で菓子を恵んでやったと思ってるのか？」
仁王「ふ、不二ッ、卑怯也！」
不二「グワッハッハッハッハッハッハ！！！！！」
極論、こんなことも可能になるわけです。これなら仁王少年の心が折れたことも納得できますね！
結論：２の「言霊説」は、ないかなあと思います。因果律決定能力は「才気煥発の極み」が前例としてあるので、全くナシではないと思いますが、いまいちスマートさに欠けるきらいがあります。１の「風圧説」は乾先輩がテキトーな解説をしたという前提で考えればアリかと。まあ、でも、これは普通に３の「滞空時間説」ではないでしょうか。やられると勝てないのは「風圧説」ですが、相手にしたくないという意味ではダントツで「滞空時間説」ですね。
ちなみに、この星花火も「雷」（亜高速移動）や、「才気煥発」（落下地点、落下時刻の予測）で対応可能と思われます。また、桃城先輩の「天候操作」で逆に星花火を不二先輩のコートに落とすことができますが、これは「上空のボールをどちらが巧く風で操れるか」という風使い対決になってしまい、テニスからの逸脱甚だしいですね。
