【9/16】2007年42号のジャンプ感想(まとめ)


 あと4週でカブトボーグが終わってしまうことに気付き、慌ててカブトボーグ感想を復活させました。でも、たとえ一日一話感想書いても間に合わないんだよなぁ…… OTL

 あと、ゆめのさんの脚本家別カブトボーグ感想がとても良かったです。僕もベネチアン回は神だと思う。


テニス

・カラー表紙

 大石先輩が「ウォーリーをさがせ」並みの扱いの悪さなのが面白かったです。同様に扱い悪めの乾・海堂先輩は、それでもまだ特徴(メガネ・バンダナ)がちゃんと描かれているのに対し、大石先輩だけ顔の一部だよ! せめてあの特徴的な髪型を描いてあげればいいのに……。


・「あ、悪魔だぁ――っ!!」

 赤也少年がデビル化することなんて分かりきってたことなのに、それでも大爆笑。ここのインパクトはすごかった……!

 これ、何がすごいって、この2ページに関しては完全にホラー漫画文法で描かれてるんですよね。テニス要素がまるでないのです。まるで、路地裏で血肉をすする悪魔を、通りがかりの中学生男女がたまたま目撃したかのような、そんな光景なのです。口からしたたる血が、本当は海堂先輩に負わされた手傷であるにも関わらず、血肉をすすってるようにしか見えないのも高ポイント。


・越前「な、何ですか、あの人!?」

 そして、記憶喪失中の越前少年は極めて常識的な反応を見せます。ここで「記憶を失っている越前少年が」驚いたということは、これは言い換えれば、「記憶を失っていなければ決して驚かなかった」ということです。青春学園における準越前ポジション(=天才)である不二先輩などが、「彼はどこまで進化するんだ…」と、なにか間違った方向で驚いていることからもそれは明らかです。

 全身が真っ赤に変じた人間を見て、一般人は恐怖に震えるだけですが、テニスを数年やっていれば、「なんというテニス上の進化だ」と受け止めてしまうのです。テニスを2~3年しているだけで、一般人と彼らとではこれほどまでに隔たりができてしまうのですね。


・切原「残念だなマムシ、テメーは狙ってやらねーっ!!」

 デビル化した赤也少年は乾先輩に狙いを絞りました。次の2ページではボールが一切出てこないので、ラケットで二発殴った後にトドメにサンダガを放っているようにしか見えません。海堂も「汚ねぇーぞ切原! 挑発したのは俺だろ、俺を狙え!!」と、よく分からない怒り方をしています。よく分かりませんが、とにかくテニスの話をしていないことは明らかです。

 思うに、ここで「よく分からない」感じがしたのは、赤也少年がデビル化することにより、テニスが「テニスボールを使って相手を殺す格闘技」へと変質したからなんですね。劇中では何の言及もされていませんが、その本質は「ポイントの取り合い」から、「命の奪い合い」に確実に変化していたのです。

「挑発した相手にリターンしない」というのは、本来のテニス(「ポイントの取り合い」)では卑怯でも何でもなく、海堂先輩に怒られる筋合いなどありません。しかし、「命の奪い合い」へと変質した今のテニスにおいては、「挑発した相手と命の奪い合いをしない」というのは卑怯な行為なのです。こう例えれば分かりやすいでしょうか。野球という「ゲーム」において、打者との直接対決を避け、敬遠をすることは卑怯ではありません。しかし、ヤクザ同士の「殺し合い」においては、ケンカを売ってきた相手ではなく、その友人を殺すことは卑怯な振る舞いなのです。デビル化前後において、テニスにはこれだけの本質的変化があったのです。

 しかし、今回の海堂対策(海堂にボールをリターンしない)は、別に赤也がデビル化してなくても使えたような気がしてなりませんが……。


・海堂デビル化

 そもそも「ビデル化」という現象が何を意味しているのかすら読者は分からないのに、海堂までノリでデビル化しちゃいました。今回の周りの様子では、デビル化はあまり良くないことのように扱われてますが、試合結果だけを見るならば、デビル化はテニスの試合自体にとっては有効なはずです。

 ではなぜ、ここでスミレちゃんがデビル化を止めようとし、一年生たちが「いつもの海堂先輩に戻ったよー」と歓喜したのか? これまでの数少ない情報から推測すると、やはり、「デビル化すると殺人テニスしかしなくなる」という結論に落ちつきます。一応彼らの世界でも「できるだけ殺人テニスは避けるべき」という概念はあったのですね。

 しかし、スミレちゃんは海堂に対し、「自分を見失うな」と言ってますが、元々、海堂先輩は越前少年と並び青学屈指の殺人テニス使いです。以前はブチャにラケットで殴りかかったし、そもそも今回だって、殺人テニスを仕掛けたのは海堂先輩の方からでした。自分を見失ったというか、海堂先輩の本来のパーソナリティが発揮されてのデビル化だった気もします。

 ところで、一発イイのを貰って、さらに「ワカメ野郎」と侮辱されなければデビル化できない赤也少年と比べて、海堂先輩は一撃のダメージも受けることなく、仲間が傷付けられただけでデビル化できたわけなんですが、この事をもってして、「海堂先輩のテニスポテンシャルは赤也少年より上」と断じてしまって良いのでしょうか。「デビル化しやすいからテニスの技量が上」とか、我ながら何を言ってるのか良く分かりませんが、しかし、そう考えるしかない気がするのです。


・乾先輩死亡

 そして、今週のクライマックス。走馬灯を走らせ、死亡フラグを立て、しっかり仕事(デビル化を防ぐ)もこなしてから、乾先輩死亡です。
 
 
 ……まあ、死んでないと思いますけどね。
 
 
 ていうかですね、今回のラストのカラクリは、僕、結構見通せていると思います。自信、ありますよ。

 軽く説明しますと、今回、乾先輩は「データは取れた」「さあ、反撃だ」と言ってから倒れました。では、これらの言葉は一体何を意味するのか? 答えは簡単。乾先輩の死は「死んだフリ」に他ならないのです。

 まず、乾先輩はデータを取ることにより、「赤也はオレばっかり狙ってきやがる」ことを発見します。さらに、過去のデータと、現に今ふっとばされてることから、「オレでは赤也の打球は取れない」「海堂のお荷物だ」と判断します。ここまでデータは揃いました。じゃあ、海堂先輩はどうするか? そこで出た結論が……

「あ、オレ、いなければいいんじゃん」

 つまり、手塚vs千歳戦と同じです。邪魔な乾先輩はコートから立ち去れば良いのです。彼がコートから去れば、赤也少年とて流石に海堂先輩を狙わざるを得ません。そこで、彼は「(よし、オレは死んだフリしてコートを去るから、後はお前一人で存分にやれ。)さあ、反撃だ」と言って、倒れたのです。

 ただし、乾先輩の唯一の誤算は、今のデビル赤也なら、コート外で倒れている選手にさえスマッシュをぶつけにいく可能性があることです。乾先輩は自分がコートから去ることで、赤也少年の狙いを海堂先輩一人に絞ったつもりでいましたが、実は海堂先輩にとっては「乾先輩を守るか」「自分の身を守るか」の二択になってしまうかもしれないのです。思い返してみれば、比嘉中戦でも仲間を守るため、明らかにアウトの打球も取らざるを得ませんでした。今回もそれと同じ事態に陥るやもしれないのです。流石のデビルといえど、そこまでのことはしないとも思いますが、相手はいかんせんデビルなので、何をしてくるか分かりません。


ナルト

・「蛙にでも何でもしやがれ! これ以上は絶対何も吐かねェ!」

 その覚悟があるなら最初から何一つ喋らなければいいのに……(´・ω・`) こういうことをされると、岸本先生の「ここまでの情報は誰かに喋らせないといけないから」という都合だけで口を割ったり割らなかったりしてるようで、ちょっと冷めちゃいますね。


To LOVEる

 人体(宇宙人含む)にとって有益なフルーツが実り、ちょうど適温の露天風呂が湧いてる、いたせりつくせりの無人星。生死を賭けたサバイバル環境にありながら、衣食住があっという間に確保されるなど、読者を何一つ不安にさせず気兼ねなくおっぱいを楽しめるよう配慮されています。枯葉のベッドがふかふかというのは、すごく納得いかないけれど。絶対ちくちくするよ、これ。

 リトくんの温泉落下シーンですが、古手川さんがいてなお、あの状況から制裁モードではなく、むしろ介抱モードに入る展開なのが、長谷見先生の力量を感じさせます。そうか、裸を見たときは殴られる前に気絶すればいいのか。「サルを追いかけていった猿山にぶつかって落下した」といえば言い訳も立ちますし、完璧だなあ。

 猿山くんは今回(フロを覗こうとしたことはさておき)性欲よりも、荷物を取り返すことを優先するという立派な行動に出たのですが、それでもTo LOVEる的な旨味を味わうことはできませんでした。リトくんは本当に優遇されてるぜ。けど、リトくんと猿山くんの立場が逆なら、彼はきっと古手川さんから制裁を受けたであろうから、やっぱりあの立ち位置はリトくんの特権なんですね。

 どうでもいいけど、女子3人の誰一人として、入浴中、ルンがレンに戻ることを考慮していないのはどうかと思いました。


サムライうさぎ

 これ、結果としては、

・田丸は金はきっちりゲットした
・伍助は結局借金まみれ
・札差はやっぱり損をした
・田丸は個人的にボコにできた
・札差の打ちこわしは何となく無罪放免になった

 と、いうことなんでしょうか。

 田丸の借金踏み倒し大作戦は悪質ではあったけど、いちおう合法的なものであり、彼の犯した明確な犯罪行為は最後の誘拐だけなんですよね(借金理由の詐称も犯罪かな?)。今回、田丸さんをボコったことで何かが好転したわけではありません。ただ、父娘の絆が強くなった、というミクロな好転があっただけで、より大きな問題は解決していません。ムカつくやつを殴ってスッとしただけです。

 話の主題を「クソッタレの侍に対する報復(打ちこわし)」から、「誘拐犯への報復」にシフトして、より大きな棄捐令問題をなんとなくスルーしたのは、上手いと言えば上手いんですが、納得いかないと言えば納得いきません。現実的に考えると、打ちこわしの主導者である加四郎さんは処刑されて、幕府側も札差に何らかの譲歩をすると思うんですが、そこらへんは来週で描かれるんでしょうか。今週のラストを見る限り、加四郎さんも「明日からまた平生通りに仕事するぜ」と言ってますし、打ちこわしのことはこのままスルーされそうですが。


ドラキュラ君と天使さん

 なんか先週から急にクオリティ下がっちゃいましたね。例年通りの金未来杯に戻りつつあります。

 奇跡のプリンス華僑院ニヒルくんは、初登場時の好感度が高かったので、このまま圧倒的な実力で不良をボコボコにして、主人公とはもっと違う形で関わって欲しかったです。主人公と二人で不良と共闘とか、ヒロインを吸血鬼(主人公)から守るために戦うけど最後に分かりあうとか。彼がステロタイプなダメお坊ちゃんでしかなかったことは本当に残念です。こういうパッと見スゴいキャラの「スゴさ」をキープしていた点で、バレーボール使いの杉越、前園はよくできてたんですよね。本作はニヒルくんの扱い次第で化けたと思うんですけど残念です。


ネウロ

 弥子ママの異常な料理を見たとき、「おいおい、これ、いくらなんでもやりすぎだろ。どう説明付けるんだぜ??」などと思ったものですが、この異常な料理すら、それなりに説得力を持たせた松井先生の力量は見事としか言いようがありません。

 この料理に説得力を持たせたのは、弥子の「根本的に何かがズレてる」の一言。これで「ああ!」と納得してしまいました。おそらく、弥子ママの「料理」の概念が一般人とは異なるのでしょうね。「食材」(食べれるもの)を適量ずつ組み合わせ、それらに「切る・焼く・蒸す」などの「調理過程」を経て食品を作ることが一般的な「料理」ですが、きっと弥子ママの「料理」は、「食品」のイメージが先にあって、そこに到達するために必要な材料・過程を、既存の「食材」「調理過程」とは無関係に選出しているのだと思います。

 たとえば、錬金術では「不死」というイメージが先にあり、そのために「金属でありながら液体である」水銀を重要視しましたが、弥子ママの「料理」も同様の思考プロセスを経ていると考えられるのです。ケーキという摩訶不思議な食品を作るためには、何らかの方法で色を付けなければならず、そのためには絵の具を混ぜれば良いだろう、という感じで。「根本的に何かがズレている」の一言は、ナイスセレクションだったと思います。

 もちろん、弥子ママの認識が異常であることは間違いないのですが、まあ、それは未だに「マフィアごっこ」と思い込んでいる山本の異常性と大差ないものです。


ムヒョ

 西先生やればできるじゃあないか……。先週のどうでもいい内容はなんだったんだ。

 まず、霊との遭遇から一ヶ月経って異変が発覚するという展開が良かったです。病気もそうなんですが、その場で即効的に異変が現れず、逆に時間を置かれることで恐怖は演出されます。ビデオに映った映像で家族が揃ってパニックに陥るところも良かったです。家族揃って旅行のビデオを見る、というのは大変現実味があり、僕たちもその恐怖をイメージしやすいのです。こんなことになったら、ウチの親父やおかんも絶対ビビるよ。

 また、「弟が生き物を大切にしだしたら異変のサイン」なんて、あまりにも普通、かつ、細かな変化で、これ、小学生が読んでたら普通にビビると思いました。「ウチの姉ちゃん、最近、犬の散歩が長いんだけど、もしかして……」「最近、晩飯に三日続いて牛肉が出たけど、もしかして……」みたいな、そんなレベルの異変ですよ。小学生を疑心暗鬼にさせるには十分なものです。「弟が昆虫を貪り食った」というなら、その事態は異常であり、「私の周りではそんなことはないから大丈夫」と安心できるけど、「弟が昆虫を大切に飼っている」ような普通のことだと、色んなことが「異変」に思えてくるものです。

 依頼を受けた直後の、ムヒョとロージーの早急な対応も、久しぶりにプロフェッショナルを感じさせました。ただ、一刻一秒を争っている状況にも関わらず、大量の小銭でタクシー代を支払う場面は、まったく不必要だったと思います。一分一秒を争っているというのに、運転手が小銭数えるだけで相当のタイムロスだよ。こんなところでロージーのドジを演出しなくていいじゃない。弟さんが手遅れになったら、読者は「ロージーの小銭のせいだ」って考えざるを得ないんですよ。直ちにタクシーを呼んだところでは、ロージーのプロフェッショナルが感じられたのに残念です。


ブリーチ

「(OSRを注いでくれた)一護のおかげで…、この姿に戻ることができました…。一護が…、(OSRを溜めにくい)小さな私をずっと護りながら、ここまで連れて来てくれたおかげです…」

 今回は、OSRを溜めに溜めて変身したOSR漲るネルが、OSRを地に落としたノイトラさんに圧勝するという当然の展開で、あまり語ることもありませんでした。

 それにしても破面は仲間割れが多いですね。崩玉というタイムリミットさえなければ、放っとくだけで破面主力の大半が仲間割れで失われていたと思います。


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