【8/1】ドラクエ8(まとめ)


 ドラクエ8おわりました。

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 一言で言えば、とても良質なRPGでした。ストーリー、戦闘、バランス、どれもが高レベルで完成されており、ケチのつけどころがありません。モンスターバトルロード、AI戦闘、「なかま」、錬金釜などの特徴的なシステムも全て洗練されており、ひとつひとつが十分なエンターテイメント。あえて言うならば、ドラクエの伝統的にカジノがつまらないというのがありますが、それもまあ許容範囲、かな……?


【ストーリー】

 細部ではどうかと思う点はあったし、一つの目的を達するために、しなければならないことが二転三転する辺りはネックですが、それでも大筋の「七賢者の末裔をドルマゲス(ラプソーン)の暗殺から助ける」というストーリーはとても良かったです。

 七賢者は既に殺されてたり、目の前で殺されたり、助けたはずなのに殺されたりと、殺され方にバリエーションがあったのが個人的に高評価。特に、「主人公が街に着いたら既に殺されてた」というパターンが3つもあったのが良かったですね。こういうのが入ることで世界観に深みが出ると思うのです。いつも主人公の目の前でだけ凶行が行われるわけじゃないってのは、とてもリアルでした。

 また、ハワードさんの大活躍は特に印象的で、数年後、ドラクエ8のストーリーを全て忘れ去ってもハワードさんだけは忘れることができそうにありません。これほど頼りになったNPCはかつていませんよ。彼が七賢者の末裔でないことが分かった後でも、「ハワードさんに従っていれば大丈夫!」という良く分からない確信が持てたし、実際、ラプソーンの呪いから宿主を無事に救い出せたのはハワードさんだけですしね(マルチェロの場合は微妙)。ハワードさんは人間的には本当にクズだったけれど、そのキャラクターはドラクエ8の中でも圧倒的にカッコ良かったです。


【戦闘】

 AIバトルが秀逸。FC版ドラクエ4と比べ、AIが圧倒的に賢くなっています。逆にちょっと賢すぎるところが問題かも……??

 どうも今回のAIはFC版ドラクエ4と違い学習型ではないらしく、事前に敵データを全て知っており、また、ターン始めに行動決定するのではなく、自分の番が回ってきてから行動決定していたようです。なので、「ガンガンいこうぜ」にしていても、敵のHPが残り30ポイント程度ならイオナズンを使わずイオラを使ってくれるし、痛恨の一撃で思わぬ大ダメージを受けても、すぐにベホマしてくれます。ものすごく頼りになるAIでした。

 最初は、AIのアホな行動を、寛大な心で許しつつプレイする制限プレイとしての「できるだけAIを使う」プレイ方針でしたが、すぐに「AIなしでは耐えられない」くらいにAIに頼り切ってました。各自が勝手に動いてくれるのは、キャラに個性があるようで嬉しいですしね。ただ、ヤンガスとか頭悪そうなキャラでさえ、ほぼ完璧な行動をしてくれるので、そういう意味では個性がなかったのかも……? それを考えるとクリフトがザキを連発してたのは、彼のキャラ付けだったのかもですね。もうちょっとそういう要素があっても良かったかも??

 ただ、ここまでAIが賢いと、「半自動戦闘」になってた感はあります。いやー、でも、それにしてもAIはラクだったなぁ。「とくぎ」を選んだり、「どうぐ」からアイテムを使用するとか、そういう面倒臭いことを全部サクッとやってくれますからね。本当にラクだった。


【バランス】

 言及すべきは、戦闘面でのバランスというより、むしろ経済面でのバランスでしょうか。このゲームは、経済的なバランスがものすごく厳しいものだったと思います。その時点で買える最強の武器防具を常に揃えようとするならば、苦行の如き魔物狩りを要求されてしまいます。

 しかし、そうではなく、ピンポイントで「これだけは買っておこう」というものだけ購入し、後はガンガン突き進んでいくプレイスタイルなら、お金にはほとんど困りません。「買いたいものが全部買えるわけではないが、とりあえず進むことに支障はない」という状態が続きます。買えなかった武器防具は、拾い物や錬金である程度カバーできますし、それにぶっちゃけ、「とくぎ」と「まほう」で武器性能はカバーできてしまいます。個人的には、主人公を「かくとう」タイプにしたのは大正解だと思っていて、彼には最初の街でブーメランを買ってあげた以外、何一つ武器を買い与えませんでしたが、彼は素手でも十分役に立ってくれました。この子は本当に安上がりだった。


【モンスターバトルロード】

 ドラクエ5の「モンスターが仲間になる」システムはとても良いものでしたが、メガテンのパクリの域は出ませんでした。スカウトモンスターとモンスターバトルロードのシステムは、ドラクエ流に「モンスターが仲間になる」を昇華させた素晴らしいアイデアだったと思います。あくまでオマケ要素なので、簡単に仲間にできて、勝手に強くなる辺りも割り切ってて良かったと思います。制限ターン数付きとはいえ、実戦に参加させうる点も素晴らしい。


「なかま」

 ドラクエ8で最も評価したいポイントはこれかもしれません。元山賊のヤンガス、金持ちのわがまま娘のゼシカ、破戒僧ククール。こんなメンツが集まったパーティーが聖人君子なわけがないのです。そのところを、「なかま」コマンドはとても巧みに表していました。主人公パーティーとは思えない、こいつらのダーティーな発言はドラクエ8で最も印象に残るものだったといえます。

 婆さんから頼まれた荷物を捨てようとするヤンガス。ムカつく王子の暗殺計画を企むククール。自分の性悪さを棚に上げ他の女を蔑むゼシカ。そして、「悪人街など滅んでも一向に構わん」と言い切るトロデ王。主人公パーティーが聖人君子の集まりではなく、むしろ、かなりカオス寄りなやつらだというのは、主人公たちの実際の行い(主に強盗行為)に照らし合わせても正しく、とても納得のいくものでした。

 ドラクエ8には「主人公がRPG的文脈で当然のように強盗行為をする」という違和感を、半ばネタにしている雰囲気があると思うんです。それをさらに、「なかま」コマンドでパーティーに不謹慎な発言をさせることで「違和感を固定」させてる気がするのです。分かり辛い言い方になるけれど、システム的な違和感(ツッコミどころと言ってもいい)が、「なかま」コマンドによって、ストーリー的な違和感に統合されるといいましょうか。なんていうか、正統派のファンタジーRPGにも関わらず、「一筋縄ではいかないドラクエ」になっているのです。そこがすごく秀逸だったと思います。


【錬金釜】

 錬金はとても難しいですね。分かるやつはサクッと分かるけれど、分からないやつは本当に分からない……。また、お金が足りなくてアイテムが十分に買えないことから合体材料にも事欠きます。ヒントを熟読して、推理して、「これだ!」と思って購入して……。それで全然違ったりしてガッカリするのです。

 しかし、「本を読んでレシピを学ぶ」というのは、とても良かったと思います。今まで単なる「情報」であった「本棚」が、「お宝に等しい情報」に変質しましたから。ストーリーを進めるのに必要なものは情報だけれども、プレイヤーが本当に欲しいのは情報じゃなくてお宝なんですよ! ドラクエ8ではレシピのおかげで本棚は準宝箱の位置付けとなり、本棚を漁る楽しみがグッと増えました。

 錬金釜で作れるアイテムは、「自力発見したらかなり強力だけれど、レシピが出揃った後だとちょっと強い程度」というバランスも良かったと思います。一周目ではバランス良くプレイできて、二周目は強い武器を早めに作れてサクサク進めるわけですね。とても良く考えられてます。

 難を言えば、錬金釜失敗時のアニメーションが長く、総当り的な試行錯誤がしにくいところでしょうか。スタッフ的には「総当りじゃなくて、しっかり推理して欲しい」ということなんでしょうけど、「究極の指輪」なんて、ヒントがあっても何種類もの指輪を総当りしなきゃ作れないんだから、ちょっと面倒臭かったです。


【主人公パーティー】

 弾幕形成に優れたパーティーでした。こいつら遠距離戦大好きです。


・主人公(ゆうざん)

 蹴ったり殴ったりしない格闘家。格闘家というよりは「武器を持たない制約を科すことで、風と岩を操れるようになった魔法使い」というイメージ。「しんくう波」を覚えるまでは役立たずだったけれど、「しんくう波」を覚えてからは主力に転進。MP消費2という低コストで、敵全体に大ダメージを与える「しんくう波」は、中盤まで無類の強さを誇りました。続いて覚えた「岩石投げ」も、「しんくう波」の上位互換といった感じでとても強力な技でした。

 これら2つの技により全体攻撃能力に優れた主人公ですが、一転して、単体攻撃面は貧弱で、素手パンチの攻撃力の低さには最後までションボリでした。まあ、素手を極めたって、剣で斬った方が強いってのはリアルですけどね……。4連続攻撃の「ばくれつけん」は初段にしかバイキルトやタメが効かないし、「せいけんづき」はバイキルトはかかるものの、タメが効きません。それに「せいけんづき」を使っても、剣装備して普通に斬りかかったのとダメージ変わらないんです。ただ、「大ぼうぎょ」は局所的に有益なスキルでした。

「ゆうき」のスキルは微妙。消費MP半減とベホマズンは素晴らしかったけれど、ギガディンの威力は微妙で、ギガスラッシュはバイキルトがかからないためボス戦では使いにくい技でした。主人公は格闘と勇気を極めたけれど、結局、ラスボス戦では(余ったスキルポイントで適当に覚えた)「かえん斬り」が一番強かったんですよね……。


・ヤンガス

 オノ使いの達人。弾幕形成を得意とするパーティーにあって、数少ない肉弾戦要員。すばやさが低く力が強い典型的な戦士タイプで、行動順はいつも最後になるものの強烈な一撃を持っており、とどめ要員として重宝しました。

「オノむそう」によるグループ攻撃、「まじん斬り」によるメタル狩り、ボス戦用の「蒼天魔斬」、良く分からないがとにかく強い「烈風獣神斬」など、技も一通り揃っていて使い勝手の良い戦士でした。打撃やカマは全く覚えてないけれど、オノを選んで良かったと思ってます。

 一方、「にんじょう」スキルは微妙。「くちぶえ」「とうぞくのはな」は有益ながらも、他に「どうしても必要な技」はなかったです。「おっさん呼び」はいまだに使いどころが分かりません。


・ククール

 微妙なカリスマの破戒僧。成長する方向性がハッキリ決まっていたパーティーの中で、唯一いろんなスキルをウロチョロしてたククール。ひとえにMP回復手段の「妖精の弓」の存在のせいで、弓に浮気しちゃったせいですね。

 そんなククールは基本は杖使い。最初は「妖精の矢」で地味にMPを稼いでいたけれど、終盤は杖を装備して毎ターン自動回復してました。「妖精の矢」の回復能力は微々たるものなので、弓はいっそいらなかったかもしれません。全体的に賢かったAIも、なぜか妖精の弓を使ってくれない時がありましたし。

 終盤はバギクロス連発で弾幕形成要員と化しました。「しあわせのぼうし」を装備させていたためか、最大MPでは遥かに上回るゼシカよりもMP残存率が高く、潤沢なMPで単体敵にも遠慮なくバギクロスしてました。

 中途半端に上げたカリスマ能力は、「皮肉な笑い」がキャプテン・クロウ戦で役立ったくらいでほとんど使わなかったです。


・ゼシカ

 弾幕ガール。肉弾戦はほとんどしてないので、武器は何でもいいから適当な杖を装備させとけばOK。とにかく魔法、常に魔法、いつでも魔法です。でも、これだけ魔法を乱発しても、ほとんどMP切れしませんでした。そんな杖スキルはすごい。最大MP+100は大きいです。

 とはいえ、イオラ、イオナズンを覚えたての頃は、さすがにMP不足に困ったことも。ゼシカはベギラゴンで済むところも、なぜかイオナズン使うんですよね。ベギラゴンはアニメーションのカッコイイ魔法なんだけど、イオナズン大好きなゼシカさんはほとんどベギラゴンを使ってくれませんでした。ハワードさんも泣いてるよ。

 そんな火薬庫の如きゼシカさんは、おいろけも覚えていったのですが、こっちのスキルはちょっと微妙でした。終盤で習得する「ピンクタイフーン」は攻撃力で他魔法に劣り、ハッスルダンスもベホマラーや賢者の石が出てきた終盤ではたいした意義を持ちません。ただ、ヒップアタックが主人公のばくれつけんより強かったことには驚きましたが……。


【好きなキャラランキング】

1位:ハワードさん

 NPCにも関わらず圧倒的な存在感。ラプソーンの襲来を事前に察知して結界を形成し、さらに呪われたゼシカを結界で弾き飛ばす程の、確かな実力を持ったお人。みんなから嫌われてるし、人間的にも確かにクズなんだけど、この人の実力は認めざるをえない。しかも、これで「本当は七賢者の末裔ではない」ときたもんだ。あんた準七賢者の分際でがんばりすぎだよ! ベギラゴンとマヒャドのご褒美も嬉しかったです。性格の悪さと、その実力のギャップから、素晴らしいカリスマが溢れてます。ナイス、ハワード!


2位:ニノ大司教

「普段悪いことばっかりしてる不良がたまに普通のことをすると根は良い人だと勘違いする」好例のような人で、でも、そのトラップにしっかりかかってしまった僕でした。見事なまでの小悪党っぷりと、子飼いのマルチェロに噛み付かれた情けなさ。見事にダメ人間を演じた後で発揮した自己犠牲精神が好感度をメキメキと上昇。彼の前科を考えると法皇就任はどうかと思うけれどね。


3位:アスカンタ城のメイドちゃん(キラ)

 王様思いのメイドちゃん。祈ってばかりでは物事は解決しないけれど、でも、その姿勢は好感度高いよ。ゼシカの代わりにパーティーに入ってくれればと、何度思ったことか。


4位:ギャリング家のメイドちゃん

 失敗したら切腹で償う、メイドにしておくのは惜しい武士(もののふ)。彼女が仲間になってくれたら、きっとラリホー効果のある薬とかを使いこなして良い戦力になってくれたと思うんだ。ゼシカの代わりにパーティに入ってくれればと、何度(ry


5位:ゼシカ家のメイドちゃん

 ゼシカのおうちで「私も旅に出たい」とぼやいてるメイドちゃん。ゼシカの代わ(ry
 
 


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