前回のエピソードにて第三試合の剣士、月岡雪之介が登場し、伊良子に「盲目でも剣が見える」可能性に気付かせたわけですが、そこで今回、回想シーンからすぐに修行かと思えば、さすがはシグルイでした。柱でも、
「いくとともにもがき、あがく無明の日々――」
と修行シーンでの始まりを連想させておきながら、最初は地蔵への嫌がらせから始まるのでした。牛股師範に似た顔形の地蔵を選び、石で殴り壊す伊良子。うん、まあ、これは百歩譲って良しとしよう。いや、全然良くなくって、思いっきり八つ当たりなんですが、その次があまりに酷すぎるので、このくらいは許してあげたい。
そして、伊良子は次に藤木に似た顔形の地蔵を見つけ、一物を取り出し放尿します。愛人が見ている前で、「嫌いなやつに顔が似ている地蔵」におしっこをかける伊良子。実に情けない……orz あなたが女の子だとして、彼氏が「オレ、この地蔵に似た顔のやつが嫌いなんだぜ」とか言いながら地蔵におしっこをかけたら、心の底から情けない気持ちになりますよね。いくは本当に良く出来た女人だ。これに比べると、地蔵を殴り壊した方の行為が、なぜか男らしい行為にすら思えてくるから不思議です。まあ、どっちにしろ罰当たりな行為なんですが。僕が仏様だったら、何を差し置いても可及的速やかに伊良子に仏罰を与えたい。
さらに、食事シーンで、伊良子は箸でいくの乳首をつまみます。おまえいい加減、修行しろよな……。せっかく前回で剣士復活フラグが立ったというのに、やってることは地蔵におしっこかけたり、箸で乳首つまんだりですよ。でも、剣の修行の前にこういう描写が入るところが、まさにシグルイのシグルイたるゆえんなのですが。実際、すげー笑えたしなー。
さすがにこんな毎日じゃダメだと思ったのでしょうか、8P目にして伊良子もようやく剣の修行を始めました。手毬、お手玉と、順調に斬り伏せていく伊良子ですが、小豆では失敗。まあ、普通に考えて、飛んでくる小豆を切るとか、盲目じゃなくても出来ないよね。それでなぜか、小豆が目に当たって悶絶します。これはどういう意味なんだろう?? 単純に古傷が痛むというわけでもないだろうし、なにかのトラウマスイッチなんでしょうか。「小豆が顔に当たる」→「涎小豆を思い出す」→「虎眼の剣閃を思い出す」といった連想なのかな。
やっと真面目に剣の修行を始めたと思った伊良子ですが、次のシーンでは、いくにお尻を拭かせてました。それは盲目でも一人で出来るだろ……。この後、伊良子は飛んでくる小豆の切断に成功するんですが、「小豆が斬れなかった」→「小豆が斬れるようになった」の間に挿入されてるエピソードが、「女に尻を拭かせた」という辺りが流石シグルイです。まったく意味は分かりませんが、小豆切りを成功させたことに疑問を抱かせない不思議な構成力があります。
雷に怯える伊良子は、月岡さんから手彫りのミニ仏像を持たせてもらい、慰められます。月岡さんは基本的にとても良い人で、伊良子への思いやり100%で行動してるんですが、仏の御加護をと思って仏像を渡してあげたのに、伊良子は恩を仇で返す習性のある生き物なんですよね。そんな伊良子はお世話になってる寺の仏像をメッタ斬りにして、仏の手の平の上に座ってセックスしてました。まあ、伊良子らしいっちゃ伊良子らしいんですが……。
ていうか、月岡さんは親切心に溢れて伊良子の世話をしてあげてるのに、伊良子にこんなに好き勝手に振舞われちゃって、こんな調子で第三試合のエピソードで主役張れるんでしょうか。伊良子の傍若無人っぷりが甚だしくて、月岡さんが「伊良子なんか助けたばかりに大変な目にあってる可哀想な人」扱いになっており、伊良子と比べてキャラクターに強烈さがないんですよね。いや、でも月岡さんって基本的にそういう人だからなぁ……。自分の試合においてもそんな感じだったしなあ。本当にいつも苦労してるぜ、月岡さん。