名前は知っているものの読んだことがない作品。「神聖モテモテ王国」は僕にとってそんな作品でした。
それが、先日ラスト様が貸してくれたので読んでみたのですが、これが思いの外面白い。最初こそ、ファーザーのあまりに強すぎる個性に引いてしまいましたが、二巻目に及ぶ辺りでそのノリに慣れてしまい、後は愉快なだけでした。
この漫画の特に優れているポイントは、基本はジャガーさんのような一話完結のギャグでありながら、変なところで設定が尾を引いて、それが物語を全体的にミステリアスなものに仕立て上げているところです。たとえば、ギャグ漫画のお約束として、主人公のファーザーはどんな酷い目に遭っても死にません。普通は「ギャグ漫画だから」ということで暗黙の諒解のうちに流してしまうのですが、この漫画では主人公の不死性について、何か国家レベルでの陰謀があるかのように匂わせてきます。また、ポッと出のキャラクター、悪の大王も、バックに本当に大きな組織があるかのような描写がされます。すごいオタクな容貌なのに、なぜか異常に女性にモテる通称「ブタッキー」も、一発ギャグで出たはずなのに、その「なぜモテるのか?」という点を登場人物たちが本気で考えたり不思議がったりします(ちなみに「家が金持ちだから」という理由は主人公たちの調査により否定されます)。
このように、普通なら「ギャグ漫画だから」で済ませる描写を、「ギャグだから」で済ませず、逆に設定を増やして大風呂敷をどんどん広げていくのがこの漫画のやり方なのです。その結果、一話完結型にも関わらず、回を進めるごとに、どんどんと世界観が広がっていきます。こんな手法を用いた漫画はあまりないのではないでしょうか。若干ニュアンスが違いますが、ジャガーさんで一発ギャグだと思っていたニャンピョウが実際に出てきて主役を張るみたいなものでしょうか。
残念なことに、この漫画は広げた風呂敷を結局何も畳まず、突然終了してしまいました。風呂敷を畳むことはしなくても、何か最終回的な話が欲しかったところですが……その点は本当に残念です。
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ところで、余談になりますが、劇中に出てくる悪の大王が良く「例のポーズ」というものをするんです。これは肘を緩やかに曲げて、両腕を上にあげるポーズで、大王はこれをすると、すごく悪いことをしてる気分になるらしいですが、僕には一体何なのか分からなかったんです。それが、今日たまたまGyaOで仮面ライダーを見てて気づいたんです。
↑これでした。