【3/29】すごい発見! 今週のブリーチは芸術だった


 掲示板に以下のようなカキコミを頂きました。

>> というか本当、ルキアが勝てたのには萎えたけど、
>> だからって精神崩壊とか言葉使ってまで批判するって・・・
>> 失礼にも程があるんじゃないですか?
>> ジャンプ感想だったら何かいても許されるわけ?
(掲示板より)

>> はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。
>> ですが、私も精神崩壊なんて言葉はさすがに失礼過ぎると思います。
>> 読んでいて少々不愉快な気持ちになりました。
>> 展開に納得いかないことを伝えるよりも、いかに酷い言葉を使ってそれを表すかが目的になってしまってるような…。
>> ここのジャンプ感想は好きで毎週楽しみにしているだけに、余計に残念でした。
>> 偉そうなことを書きましたが、今後も楽しみにしてます。
>> がんばってください。
(掲示板より)

 まず、始めに謝っておきます。不快にさせて申し訳ありません。確かに、少し直接的すぎる表現だったかもしれません。以降、気をつけます。


 ですが、一つだけ弁明させてもらいたいのは……

>> 展開に納得いかないことを伝えるよりも、いかに酷い言葉を使ってそれを表すかが目的になってしまってるような…。

 これは違うんです! これは本当に僕がそう思って素直に書いただけのことで、別に久保先生のことを必要以上に悪く書こうとか、そういう考えは一切ありません。そう伝わってしまった以上は僕のミスなんですが、僕は今週のブリーチから本当に凄まじい狂気を感じ、その結果「狂気を感じた」と書いただけなのです。そこだけはどうしても分かって欲しい。

 極端な話ですが、例えば目の前を歩いている人が突然しゃがみこんで犬の糞を貪り食いゲラゲラ笑い出して転げまわったら、あなたは恐怖しますよね? それと同種の戦慄を僕は感じたのです。そのくらい今週の話は意味が分からなかった。そう、意味が分からなかったのです。つまらない話なら僕は「つまらない」と書く。しかし、今週はつまらないのではなく、意味が分からなかった。僕の論理的思考がまるで及ばなかった。だから僕は「久保先生は気が狂ったんじゃないか」と書いたのです。「つまらなかった」と書くべきところを、あえて悪意を持って、「気が狂っとる」と書いたわけではないのです。ここを混同されている気がするので、そこだけは分かって欲しい。

 しかし、掲示板に寄せられた意見を見る限り、みんな意外にもそれほど狂気を感じていないように見受けられます。僕は狂気を感じたのに、みなは何故狂気を感じていないのか。その理由を考えたところ、一つの仮説に至りました。それは「才能」の問題ではないかと思うのです。

 といっても、僕の感受性が人並み外れて優れているとか、そういうわけではありません。むしろ逆です。僕は日頃から「作品を楽しむ」というのは一つの才能だと思っているのですが、僕には「ブリーチを楽しむ才能」、もっと言えば「オサレを楽しむ才能」が根本的に欠けているのではないかと思ったのです。

 例えば、僕の大好きなテニス。あれも相当に非論理的な作品です。あれの面白さは本質的なところでは意味が分かりません。でも、僕はテニスには「狂人の狂気」を感じることはなく、むしろ「アーティスティックな狂気」と受け取り、十分にそれを楽しんでいます。非論理的な作品の中にエンターテイメントを見出しているのです。訳の分からないものを楽しんでいるのだから、僕には「テニスを楽しむ才能」があるということでしょう。

 しかし、この世の中には「テニス全然面白くない。意味が分からない。許斐は気が狂っとる」という人もきっといるはずです。僕には想像もつきませんが、きっといるはずです。なんで想像がつかないのかというと、僕自身テニスの何を楽しんでいるのか良く理解できていないからです。何を楽しんでいるのか分からないから、何を楽しめないのかも想像がつかないのです。

 テニスの面白さの本質については、僕もかねてより色々と考えているのですが(こういうことを人にいうと「お前は本当にヒマだな」とよく言われます)、その面白さがどこにあるのかまでは、何となく仮説が出来ています。ここからはちょっと抽象的な話になるので、頭の中でイメージしながら聞いて欲しいのですが、テニスは階段に例えることができると僕は考えています。

 僕たちは許斐先生の用意してくれた階段をピョンピョンとリズミカルに昇っていきます。調子良く登っているので、足取りに弾みも付いてきます。しかし、今まで調子よく登っていた階段が突如として急激に高くなり、1段20cmほどであったのが、いきなり1段3mになってしまうのです。でも、僕たちは弾みが付いているため止まることができません。僕たちは思い切ってジャンプします。すると、そのまま3mピョーンと飛べて、次の階段へ達してしまうのです。この「3mの大ジャンプ」、ここにテニスの面白さがあるのではないかと、僕は考えているのです。論理から非論理へと跳躍する時、僕たちの心の中の何かが急激な力で上方へと引き上げられる、その時の形容しがたい高揚感が、テニスの面白さではないかと考えているのです。具体的に言うと「シンクロしたらネバネバする」ですね。

 ここで話をブリーチに戻しましょう。今週のブリーチが、僕にとって全く意味不明であり、狂人が描いたものにしか見えなかったのは、僕が階段を調子良く登れていなかったからではないかと思います。ブリーチを楽しむ才能がないんですね。ただ、僕は感想を書くという手前、それでもリズム良く階段を登ろうと頑張ってしまいました。そのため、突如現れた3mの階段にも果敢に挑んでしまい、その結果、思いっきり顔面をぶつけてしまった(狂気に戦慄した)のではないでしょうか。ピョーンと3m飛べた人は、「今週のブリーチ最高!」と思うだろうし、最初から助走をつけてなかった人は「今週はつまらなかったが、まあこんなもんだろう」と思うでしょう。しかし、3mの階段にブチ当たってひっくり返ってしまった人は、階段の作り手(久保先生)の狂気に打ちのめされるばかりなのです。


結論:付いていける人にとっては、狂った作品こそ面白い。だが、付いていけなければ理解できず、「狂人の作品」としか思えない。


 ***

 結論の後に話を続けるのは本当はいけないんですが、しかし、僕はどうしても納得いかないのです。今週のブリーチは本当にテニスのような漫画なのでしょうか? 僕の上記の見識は正しいのでしょうか?

 今週のブリーチの「論理から非論理への跳躍」は、「圧倒的な戦力差を覆す想い出パワー」なのですが、「圧倒的な戦力差」という論理を破壊する力を借りて、「想い出パワー」は勢いを増すのでしょうか。理解はできるけど、納得ができないのです。これでは僕にとって意味が分からない作品は、全て誰かにとって何らかの価値を持った作品となります。それは本当の狂気とはどう違うのでしょうか。いや、実際に狂人とされる人の作った作品が芸術作品たりうる例は多く、ならば、あらゆる狂気は全て芸術と呼ぶのが正しいのでしょうか。僕が今週の感想に少し書いた、

>> ここまで意味の分からない話を書ける久保先生が逆にすごい気がしてきたのは多分気のせいです。

 この一文は、今週で物語を完璧にブチ壊して虚空の暗闇へと変えた久保先生が、極めて破壊的な芸術を生み出したのではないかという想いが一瞬よぎったことによるのですが……。
 
 
 ああ…………。
 
 
 そうか、ここまで書いてやっと分かりました。僕が今週のブリーチになぜ戦慄して、どうして狂気を感じたのか。今週、ルキアの勝利に意味がないことは前述の通りですが、これはつまり、アーロニーロさんの存在や、ルキアの葛藤などにも何も意味がないことと同義です。つまり、今週のブリーチは19Pも内容があるのに、何も語っていないのです。19Pの白紙があって内容がないなら当たり前ですが、19P何かを言おうとしているのに何も語ってないのです。19Pで物語を紡ぎだした結果、そこに生じたのはブラックホールであり、これまで描いてきた全てを無に帰したのです。ここでいう「内容がない」というのは、「つまらない」ではなく、文字通り「何もない」のです。つまり、今週のブリーチは「描くことにより内容を消失せしめる」「生み出すと同時に失う」、そういったパラドクスを内包した作品であり、このパラドクスこそが、僕に「狂気」を感じさせたのです! おー、すごい! よくこんなことに気付いたなあ、自分。そりゃあ狂気を感じるよ、当然だ。

 なんかそう考えると、久保先生ってすごい芸術家な気がしてきました。読み手が狂気を感じる程の、非現実的・非論理的状況を久保先生は結果として描いたのです。久保先生に絶対そんな気はないのだろうけど、僕が芸術だと感じた以上これは芸術です(作品の価値は作り手ではなく受け取り手により創出されるから)。僕はいま日本で一番今週のブリーチに価値を見出した自信がある。ブリーチに関して、この5日間で10時間以上は考えたけど、その甲斐があった気がします。我ながら本当に良い仕事ができた。

 というわけで、狂人なんて言ってすいませんでした。これは芸術です。いや、皮肉じゃなくて本当に。すごく頑張ったら3mジャンプできるんだね。こうなった以上、来週アーロニーロさんにはちゃんと死んでてもらいたいです。
 
 
2回目の結論:今週のブリーチは「物語を描くことにより、物語を消失させる」という、ありえないパラドクスを描いた凄まじい芸術表現である。
 
おまけの結論:「これはホンモノの狂人だ!」と思った時は、それが芸術作品ではないかと必ず疑うべし。狂人と思わせるほどの作品は、言語化することで何らかの価値を創出できる可能性がある(もしくは全て創出できるのかもしれない)。狂気にはそれだけのエネルギーがある。
 
 


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