2006年度版が劇場公開されている今、日曜邦画劇場(日曜洋画劇場の邦画版)で1973年度版が放映されてたので見てみましたよ。
まず、どうかと思ったのが、主人公格である田所博士の傍若無人な態度。この人、異常に語気が荒く、いきなり藤岡弘、に当り散らします。危険だっつってんのに深海に潜らせたり、やりたい放題。こわいよ、このオヤジ。
また、首相に対する態度、テレビでの態度など、ホントに危険を訴えたいのなら、彼の態度はどう考えても適切とはいえません。こんなんじゃ誰も信用してくれないよ。ホント狂犬みたいな人だよな。
映像の方は、やっぱ今見ると古臭いです。まず、可愛いはずの女性が可愛く見えないとか、カッコイイはずの男性がカッコ良く見えない辺りが厳しい。30年の隔絶は意外と大きいです。特撮もやっぱり今見ると……。あの精巧なミニチュアは、それはそれで一つの境地なんだろうけど……。
また、演出的には「日本列島に壊滅的なダメージ」というマクロなお話なのに、その描写が「個人がどのようなダメージを受けるか」というミクロな描かれ方だったのが何とも残念です。日本列島に壊滅的なダメージが加わり1000万人単位で人が死ぬってのに、女の人の目玉にガラスの破片が突き刺さって血がぴゅーぴゅー出る描写を入れるのは逆に白けた。そーいうのが見たいならヤコペッティでも見るよ。
この映画の監督さんは、八甲田山も撮ってる人みたいだけど、八甲田山くらい小規模な話なら、「個別の惨状を描くことで全体の惨状を描く」のもいいと思うんですが、日本列島レベルだと逆効果な気がしました。全然違う映画だけど「地獄」を見てる気分になった。
で、あんだけ引っ張って、結局、肝心要の日本沈没のシーンを描かなかったのは、何か深い意図があるんでしょうか。深い意図があったとしても、やっぱりそこのカタルシスは欲しかったなあ。残念です。