港での戦いの後、爆発に巻き込まれたトレインは、スヴェンとイヴにより隠れ家へと運ばれ、治療を受けます。
以前は敵対したイヴとトレインですが、スヴェンはトレインにすっかり気を許しており、なんとイヴを留守番に残し、自分は一人街へ買出しに出かけてしまいます。トレインがどういう人物なのかも分からないのに、しかも以前は銃を向けられた相手だというのに、そのような危険人物を家に残して一人街へと出かけたのです。これは、うっかりすると「スヴェンはなんと無責任で危機意識に欠ける男なんだろう」と思いそうになりますが、実際はトレインの紳士魂を信じての行為なのでしょう。
しかし、そんなスヴェンの期待をトレインは裏切ります。イヴがトレインの首に鈴を付けようとしたところ、その手を跳ね除けたのです。もちろん、一般的な人間であれば、首に鈴を付けるよう見せかけて首を締められるのではないかとか、そうでなくても、こんなものを付けたら恥ずかしいとか、とにかく普通の人間ならば拒んでしかるべき場面ですが、もちろん黒猫世界の紳士は筋金入りですから、そんなことは許されません。なんせイヴはトレインの命の恩人。ですから、たとえイヴが「おまえは一生全裸で過ごせ」といったとしてもそれに従うのが紳士道というものでしょう。スヴェンはそのトレインの行動を激しく非難し、「お前はイヴに助けられたんだから、恥ずかしくても鈴を付けろ」(要約)とトレインに紳士道を説きます。この言葉を聞いてトレインも自分の紳士道に目覚めたようです。
その後、イヴを襲うジェノスの前にトレインが現れますが、その首には先ほどの鈴がついているではありませんか。この鈴の意味は、おそらくブリーチの更木隊長が自分にハンデをつけるため、あえて鈴を髪に結いつけているのと同じ理屈でしょう。これにより、今後トレインは「後ろがガラ空きですよ」などの紳士儀礼なしでも自分が背後を取ったことを相手に知らせられるわけで、また一段と紳士として成長を遂げたのです。イヴの狙いはここにあったのですね。自分の紳士的成長を喜んだトレインは、その鈴をいたく気に入りました。
矢吹先生は偉大です。
矢吹先生は偉大です。