No.5「本当に恐ろしいホラーって説明がないですよね。どうして、そういう霊になったのか、その霊が何を考えているか、何も分からない。理解できないから恐ろしい。幽霊ってのは人の形をしているのに、僕たち人間が理解できない存在だから恐ろしいんです。そこでテニスですけど、彼らが何を考えているのか、どうしてそんなことができるのか、まったく説明がないですよね。あいつらは人の形をしてるのに、僕たち人間が理解できない。だから、テニスは恐ろしいんです」
先日のネットラジオでNo.5が最も輝いた瞬間です。
「テニスの『笑い』は『恐怖』から生じる笑いである」
「テニスには根源的な恐怖を感じる」
などなど、「テニス」と「恐怖」の関係はこれまでもたびたび論議されてきたことですが、その名状し難い恐怖を言語化することはできませんでした。しかし、今回のNo.5の説はその核心にかなり迫っているのではないでしょうか。
格闘漫画やファンタジー漫画と異なり、中学校のテニス部を舞台とする「テニスの王子様」は、僕たち読者がどうしても「共感できるはずのもの」と思い込んでしまいます。その「共感できるはず」という思い込みが「理解不能」という現実によって恐怖へと姿を変え、その恐怖が笑いを生み出しているのかもしれません。幽霊と同様、テニスのキャラクターたちは人の姿をしているからこそ恐ろしいのです。