Genius336「天才財前」
千歳「だ、だめばい!」
審判「ゲーム青学、4-1」
百錬自得の極みに加え、才気煥発の極みまで使いこなす手塚に、千歳は防戦一方だった。
千歳「……(だめばい! 『百錬』だけなら、俺の『才気』で封じることが可能たい。しかし、『百錬』と『才気』を同時に使われたら、俺の『才気』だけでは太刀打ちできんばい! どうにかして手塚の『才気』を破らんと! このままでは勝ち目がなかばい!)」
体勢を崩し、前のめりになりながらも、なんとか返球する千歳。しかし、ボールはあろうことか手塚の真正面へ。手塚のスマッシュが炸裂しようとした、まさにその時――!
「バシッ!!!!」
確かに、スマッシュは四天宝寺コートへと炸裂した。だが、そこには誰もが目を疑う光景が広がっていた。そう、スマッシュは手塚ではなく、あろうことか、千歳の味方のはずの財前。彼が千歳へ向けてスマッシュを放ったのだ。財前が突如青学側コートへ入り、手塚とダブルスを組んだのである!
桃城「お、オイ。な、なにやってんだ、あいつ……」
呆れ返る桃城。しかし、財前は真っ直ぐな瞳で千歳を見ている。
財前「千歳さん、そういうことです。オレは今から手塚さんとダブルスを組みます。そして、二人であなたを倒します!」
財前の行動に両陣営から疑念と驚愕の声が上がる。
忍足「なにやっとんやー、財前! 気でも狂うたんか!」
大石「い、一体、財前くんは何を考えてるんだ……」
しかし、この異常事態を冷静に見通す者たちもいた。
不二「フフフ、なるほど。その手があったか……」
越前「へぇ、やるじゃん」
桃城「なっ! どういうことっスか、不二先輩」
不二「まあ、見ててごらん、桃城」
不二の言う通り、なんと今度は手塚が防戦一方である。財前とダブルスを組んでから、形勢は完全に逆転していた。
不二「この試合、『才気』使いの千歳が初めに財前を外に出したことを覚えているかい? つまり、『才気』はダブルスでは使えない能力なんだ。ということは……」
桃城「……そ、そうか! 財前は手塚部長とダブルスを組むことで、手塚部長の『才気』を封じたんスね!」
忍足「なんや、そういうことやったんかいな! ナイスやでー、財前!」
観客「流石は天才財前やー!」
審判「ゲーム四天宝寺、5-4!」
『才気』を封じられた手塚に千歳は猛攻をかけ、ついにマッチポイントを迎える。勝利を目前にし、湧き上がる四天宝寺ベンチ。
桃城「や、やべえっスよー。まさか、手塚部長が負けるだなんて……」
不二「フフフ、大丈夫さ、桃城。確かに普通のダブルスなら、これで勝負はついていただろうね。だが、千歳君も今度ばかりは相手が悪かった。そう、今回、手塚のパートナーは……」
越前「まだまだだね」
コート外でノートを取っていた乾に、手塚が目配せする。
手塚「乾……」
乾「ああ、分かっている。千歳の『才気』、オレが封じればいいんだろ?」
乾はラケットを手にし、コートへと歩みだす。
観客「な、なんやてー!」
なんと、今度は乾が四天宝寺コートへ入り、千歳とダブルスを組んだのである! これで、千歳の『才気』もまた封じられた!
乾「フ、フ、フ。『才気煥発の極み』敗れたり」
手塚「千歳、勝負はこれからだ」
千歳「クッ……流石は乾。見抜いとったか!」
観客「ダ、ダブルスやー! ダブルスがシングルスになったと思ったら、選手交代して、またダブルスやーっ!!!!」
次回、いよいよ決着――!!!!
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↑これ、ちょっと自信あるよ。