以前、ジンの「解読不能」のエントリーを書いた時に「音楽に対して批判することは許されるが、しかし、『歌詞が聞き取れない』という理由で批判するのは的外れである」ということを書いたのですが、先日、知り合いのアーティストが興味深いエントリーを書きましたので、今回はそちらをご紹介したいと思います。
ここで、彼が「悪霊おばけ」という関西のバンドを評価している点をいくつか引用してみましょう。
>> 数ある刃物の中でノコギリで腕を切るのが凄いです。
>> 本当にノコギリは痛いですから。
>> ライブというステージで暴れると「ステージ上で暴れているだけの人」になってしまいますが、悪霊おばけさんは墓場や廃墟で暴れる活動を行っているので、他の破壊パフォーマンスバンドへの差別化が出来ている。
>> 汚物を使わないあたりが美学を感じる。
というわけで、「ノコギリで腕を切ってるのがえらい」「墓場で暴れてるからオリジナリティがある」「汚物を使わないのが美学」などが、バンドの評価として成立する音楽ジャンルもあるのです。
いや、僕もこれほど暴力的なバンドを生で見たことはないんですけどね。まあ、そのくらい音楽というのは表現の間口が広いということです。ノコギリで腕を切るとか、墓場で暴れるとか、そういうことに比べたら、「歌詞が聞き取れない」なんてのはクソみてえなことで、別段取り上げるようなことではないと思えてきます。「解読不能」は、そういう意味では良くも悪くも平凡なポップミュージックなのです。
DJ OZMAの裸ボディースーツにしたって、芸術上の是非はともかく品位を問うほどのレベルでしょうか? 本気で品位を議論するレベルというのはステージ上で大便をしてからだと思います。
そういうわけで、とにかく音楽は間口が広いのです。大体のことでは驚いていてはいけないのです。でも、やってる方としては、正直ちょっとしたことで驚いてくれる方がありがたいのです。のこぎりで腕とか切りたくないのです。
※ちなみに、彼のエントリーでしばしば名前が出てくる「山塚EYE」という人は、ライブハウスをユンボで破壊するという伝説的パフォーマンスを行った人です。
(上:悪霊おばけライブ映像)