1986年の劇場版北斗の拳をアニマックスで見ました。大筋はオリジナルと同じだけど、独自の視点で再構成されており、よりドラマチックな作品となっています。
オリジナルの北斗の拳は、ああ見えて、かなり行き当たりばったりなストーリーです。シンと戦った後に、ジャギ戦で急にシンが善人化する辺りが特に顕著。しかし、この劇場版では、そういった後付け設定が出揃った後に、それらの設定を用いて最初から描きなおしているため、ストーリーがとてもドラマチックに再構成されているのです。具体的に言うと、戦う前からシンが良い人です。
また、それに伴い話の流れやキャラ設定も大幅に変更されてます。以下、劇場版のアバウトな流れ。
・核戦争前の平和な世界
↓
・核戦争後、荒廃した世界
↓
・シン、ケンシロウからユリアを奪取。ケンに７つの傷をつける。
↓
・シンに半殺しにされたケンシロウに止めを刺すべく、ジャギが谷底へ突き落とす。
↓
・時は流れ、ジード配下に追われるバットとリン。（何の意味もなくビルを破壊しながら登場した）ケンがジード配下のザコを倒す。
↓
・街にて、ジードvsケン。ちなみにジードは無所属（シン配下ではない）
↓
・ケン、南斗水鳥拳のレイと合流。共にジャギを追う。
↓
・ケンvsハート様。ハート様は何故かジャギの配下。
↓
・ケンvsジャギ。ジャギに捕らわれていたアイリ（レイの妹）を救出。ここで、シンを惑わせたのがジャギだと判明。シン善人化の兆し。
↓
・ラオウ軍vs牙一族。そして、ラオウvs牙大王。
↓
・ユリアにめちゃくちゃ優しいシン。ユリア生きてます。蝋人形ではありません。そして、サザンクロスに向かってくるラオウとの戦いを決意するシン（熱い！）
↓
・ラオウ、サザンクロスに到着。ユリア、ラオウに捕らわれる。ラオウvsシン。（なお、この時シン配下のカーネル大佐はシンの逆鱗に触れ殺される）
↓
・ラオウに破れ瀕死のシン。再会したケンに止めを刺される。「同じ女を愛したお前の拳で死にたかった」（by シン）
↓
・なぜかカサンドラに居を構えるラオウ。レイ・バット・リンが先にカサンドラに到着。
↓
・レイvsウィグル獄長。ウィグル獄長はラオウの親衛隊長。
↓
・レイvsラオウ。ほぼ原作通りにレイ敗北。
↓
・ケンvsラオウ。互角の状況下で、リンの制止によりラオウが退く。
とまあ、こんな感じ。原作とは違う展開の、ラオウ軍vs牙一族、レイvsウィグル獄長の戦いがアツイですね。そして、ケンを先にジャギと戦わせたことで遠慮なく善人化できるようになったシンの善人っぷりが素晴らしいです。ただ、いなくなったユリアを探してる時に……
シン「なあ、カーネル。ユリア見つかった？」
カーネル「ちょ、いまユリアどころじゃないでしょ！ ラオウそこまで来てますよ！」
シン「ユリアどころだと！？ ふざけるな、死ね！」
カーネル「ウギャー！」
この辺りは本当に善人なのか怪しいところ。カーネル大佐の反応はもっともだよ。あのラオウが迫って来てるのに、上司の女の心配なんかしてられないよ。
ラオウvsシンの戦闘は直接的に描写されてないのが残念ですが、でも昔から疑問だった「なんでラオウ軍はサザンクロス襲わんの？」って辺りに真っ向から立ち向かってる辺りが好感持てます。ちなみにKING軍はラオウ軍に思いっきり蹂躙されて、ケンが着いた時には死屍累々でした。ダイヤやクラブも人知れずラオウ軍に殺されたんだろうなあ。
そういうわけで、話の筋を一通り知ってても、全然違うので新鮮な気持ちで楽しめる映画です。いまこれを見るのはかなり難しいみたいですが、機会があれば是非。
