戦闘システムでは、完璧と思われた真女神３をさらに極めた感のある本作品。けれど、ストーリー的には賛否両論分かれるかもしれません。昼は学生生活、夜はダンジョン攻略の本作品は、個人的には「昼はだるい、夜は楽しい」ものでした。
昼の学生生活は、コミュはともかくとして、ステータスを上げるためのルーティンワークが多すぎます。毎日欠かさず神社へ行き、お賽銭を投げ込み、おみくじを引き……疲労したら保健室で薬を飲んで……週末以外はカラオケへ、週末はコーヒーを飲んで……。こういったことを機械的にカツカツやらなければならず、かなりだるいです。いちいちMAP移動することなく選択肢一発でいけるようにするとか、せめて神社だけでも無くして欲しかった。
ストーリーは（まあこれはペルソナだからやる前から分かってたことではありますが）あまりにクサイです。キャラクターはみな饒舌で語りすぎ。げんなりしちゃって、あまり楽しいとは思えませんでした。ただ、これは人それぞれの好みだと思うので、逆に饒舌が楽しいと感じる人もいるでしょう。僕は真３のダークでソリッドな世界観＆ほとんど何も語られないストーリーをカッコイイと思っているので、真３に「ストーリー性を感じられない」と思う人などはペルソナの方が楽しめるのかもしれません。真３は「力を信じ、力を求め、力に殉じた千晶」のように、語らないところに、逆に深いキャラクター性を現しているのでペルソナとはストーリーの魅せ方が真逆なんですね。セリフで語るペルソナ３に、雰囲気で語る真３といった感じでしょうか。その中間が九龍妖魔なのかもしれません。
そういうわけで、ペルソナ３のストーリーはあまり好きになれないけれど、それでもこれを作るための作り手の作業量は想像を絶しており、その作業量を想うだけで感動します。正直、よくこんな面倒くさいもの作る気になったなあと思う。カレンダー通り一日ごとに進行するのも面倒くさいし、テレビ番組のテキストは毎日変わるし、登場人物のセリフもチョコチョコ変わるし、しかもそれをコミュの進展と辻褄を合わせながら展開するとか、僕なら絶対やりたくない大仕事です。たまに変なところも出てきちゃうけど（風花と一緒に部屋で過ごしたのに、次のシーンで風花から「おかえり」といわれるなど）、まあそこはご愛嬌。とにかく凄まじく作るのが面倒くさいゲームです。本当に良くこんなものを作った、がんばった、感動した。
でも、文化祭が台風で中止になったり、体育祭がなかったり、体験学習（？）の内容がオミットされたりと、ところどころ「これ以上やってられっか！」という作り手の弱音が感じられたのは残念。容量の問題かもしれないけど、でもせめて文化祭くらいはやって欲しかった。文化祭ないと学生気分が激減しちゃうよ。
一方、バトル面は完璧といって良いでしょう。真３のプレスターンバトルをさらに発展させたのがペルソナ３。真３で最大の問題だったのが、プレスターンバトルは先手が極めて有利なのに、速さと運を上げまくっていてもたまに後手に回ってしまうこと。これはリアルラック値に依存する問題で、要は「ゲーム中でどれだけ頑張っても、運が悪ければ死ぬ」のです。しかし、ペルソナ３はアクション要素を少しだけ取り入れることでこれを解決しました。敵に先手を取られる時は、イコール自分がアクションに失敗した時なので、あくまで自分の責任。理不尽な気持ちになりません。また、即死魔法による一撃死に対しても、ホムンクルスという身代わりアイテムが登場したおかげで、かなり気楽になりました。「即死魔法は理不尽！」という人にも安心です。この２つにより、戦闘面で理不尽を感じることはほとんどないんじゃないかな？
また、これは真３も同じなのですが、レベルアップと悪魔合体の関係が非常にバランスが取れてます。昔のメガテンはレベル70もあれば十分にクリアできるのに、最高位悪魔はレベル90とかで、すごく大変な思いをしてレベル90にしても、（ラスボスはレベル70で十分倒せるので）あまり報われないゲームでした。しかし、本作では最高位悪魔はレベル90でも、普通にダンジョン攻略しているだけで十分レベル90に達するため、苦痛でしかないレベル上げや徒労感はなく、ゲームの一環として最高位悪魔を創造することができます。これはとても素晴らしいことです。逆にいうと、もっと昔からこうして欲しかったとこだけど。
戦闘に一つだけケチをつけるなら、序盤の戦闘がだるいです。序盤はみな単体攻撃魔法しか持っておらず、例えば炎に弱い敵が５体出てきたなら、炎の単体攻撃魔法を５回使わなければなりません。これは非常にだるい。全体攻撃魔法を覚えた時は、「強くなった」ではなく、「だるくなくなった」ことで喜んでしまいました。これは何か違うと思う。
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というわけで、クサいストーリーと、面倒な日々のルーティンワークに耐えれる人なら楽しく遊べるゲームだと思います。ただ、コミュとかが面倒くさくて、僕は二週目はやる気がしなかったですけど……。ダンジョン探索以外は、もっとスピード感があると良かったですね。ちなみにクリア時間は僕の場合で160時間。長いね。10点満点で7点くらいの作品です。
