ヘキサ嬢のおうちで「壮太君のアキハバラ奮闘記」を5巻まで読んでみました。
初期設定では、隠れオタクの主人公壮太君が「御宅堂本舗」という秋葉原にあるオタクな店を訪れることでオープンオタクの道を踏み出す、というものだったはずなんですが、それは最初の2~3話で終了。彼女にカミングアウトし(よくできた彼女なので許してくれる)、友達にカミングアウトし(友達もオタクだった)、そこらへんでこの漫画の基本設定は消化済み。
後は秋葉原やオタクを背景にした、ちょっとしたオタクエピソードが一話読みきり形式で展開されていきます。それが大体3巻まで。1~3巻の辺りは(これはこれでそれなりに面白いけど)ちょっとパンチ不足かなあという気がします。「御宅堂本舗」も、本物のオタクにしか売らない職人気質の店みたいなイメージだったんですが、すぐにそういう色も薄れて「単にレア商品の品揃えが良い専門店」になってしまいますし。BL雑誌編集長の金成保百恵(かなりほももえ)さんは強烈なキャラクターだけど、デスレコーズ社長に比べると流石に見劣りするしね。
しかし、4巻以降からは物語性が生まれ、俄然面白くなってきます。まず、4巻で主人公が大学受験に失敗しショックで家出。そのままホームレスになります。さらに5巻では主人公の存在が蔑ろにされ、一人大学に受かってしまった主人公の彼女が、主人公を理解するために「二次元研究会」に入るというストーリーにシフト。実質的に5巻の主人公は「主人公の彼女」になります。
で、この5巻が僕は一番好きなんですが、主人公の彼女は「二次元研究会」に溶け込んで、楽しそーにまったりとサークル活動してるんです。ナードな趣味を仲間と共有しながら、ゆっくりまったり過ごすなんて、まさに大学生活の醍醐味。5巻はこのまったり感が非常に心地良く仕上がっています。みんなでアニメ見ながらコタツに入るとか、一丸となってフィギュアを仕上げるとか、他人事ながらすごい羨ましいですよ。シスプリを見てて「僕も12人の妹が欲しい」と思ったときは「負けた!」と意識しましたが、「僕も二次元研究会入りたい」と思ったので、やっぱり今回も負けたみたいです。
ちなみにこの漫画、掲載誌がGファンタジー。主人公がホームレスになるって、そんなファンタジーいやだ。