【11/28】週刊少年ジャンプ2006年52号の感想


これは一体どういうシーンなのですか?


テニスの王子様

・アオリ「よみがえった闘志!!」
編集の仕事がナイスすぎ!
この1ページは、ラケットがなければテニス漫画と絶対分からない!

・観衆「覆面レスラー軍団、1ゲーム返したぜっ!!」
許斐先生は最近DMCを読んだのではないだろうか。
観客の声援がDMCファンのそれに近づきつつあるように感じます。

しかし、この声援は一体どっちの補欠軍団が発してるのでしょうか。
四天宝寺側だとすれば、ちょっと敵味方の区別を超えてノリすぎだし、青学側だとすれば、これまでの先輩達の変態行為の数々ですっかり耐性ができちゃって、こんな状況にも楽々つっこめるよう成長しちゃったってことですね。
来年あたり、荒井先輩が新入生相手にアコギな商売をやっていても、「オオーッ、上級生の権力をフル活用だー! 新入生から5200円もぼったくる気だぜっ!!」とかで終わりそう。

・ロゴ「覆面を被った少年達」
こないだの「コメプリ」は、それでも若干「テニスの王子様=テニプリ」の面影を残していましたが、もはや面影すらもなくなりました。

・「覆面ポーカーフェイスで完全に青学ペースや!!」
というか、これってなんで覆面被ったら笑わずに戦えるんでしょうか。
ポーカーフェイスが重要ということは、実際に覆面の中ではゲラゲラ笑っているけど、奈良たちには彼らが笑っていることが分からないため「場がシラケてる状態で新たなネタを出すのが憚られる」ということなのかもしれません。
だとしたら、ちょっと情けないね。
彼らにも芸人の意地を見せて欲しい。

・「このまま一気にいっちゃえーっ!!」→「ぶはぁーっ、もう駄目だっ!!」
ここらへんが本当に許斐先生はテクニシャンだと思うんですよ。テクニシャン? 手国さん?
一年トリオの台詞で「このままでいく」→「覆面状態からさらなる攻防戦が!」と思わせておいて、次のページであっさり読者の予想を裏切る。巧いです。
これがまた後の伏線になるわけですが、それは後述。
ダブルス2はこれまでこれだけのことをやっておきながら、いまさら平然と「マスクをかぶったら呼吸し辛い」なんていう常識を持ち出してくる辺りが許斐先生のクレイジーなところなんですが、それすらも伏線で……まあ、これも後述。

・不二「…頼むぞ」
本人も、もはや後輩達に何を頼んでいるのか分からない状態だと思います。
「頼むから勝ってくれ」なんだろうけど、勝つためにはどうすればいいかといえば、「頼むから笑わないでくれ」なのか、「頼むから向うより面白いことをやってくれ」なのか、まあ、とにかく、自身の敗戦のショックもあり、いま不二先輩はものすごく混乱してるはずです。

・スミレ「被らんかい!」
あまりに凶悪な展開!
この非常識な戦いの中で「マスクを被ると苦しい」なんていう、めっぽう常識的な話に読者を強制的に立ち戻らせ、今度はそれをさらに非常識な方向に揺り戻す!!

そして、その異常性をさらに助長する
「おや? 体力と精神力が取得じゃなかったのかい」
スミレちゃんのこの台詞!

キャラクターの個性が試合の趨勢を決めるのはスポーツ漫画では当然の展開なのですが、まさかキャラクターの個性が試合の内容とは関係ない異常な状態を肯定するために用いられ、しかも、その異常な状態が恐ろしいことに試合結果に反映されてしまうという、あまりに奇怪な構造!

思うに、ここには3つの常識・非常識が含まれているんですよ。

漫画の基本となるのは「漫画の常識」で、今回は「桃城・海堂は体力精神力が取得だからマスクを被れる」がそれに該当し、それが漫画的な基本となるわけです。「こいつは力が強いキャラだから、この大剣が持てる」みたいなニュアンスね。

で、「マスクを被ると辛い」というのは「現実の常識」であり、この時点で「漫画の常識」に反しており、さらに「マスクを被るとテニスに勝てる」というのは「漫画の中でも非常識」な話なので、これら「漫画の常識」「現実の常識」「漫画の中でも非常識」の三者が渾然一体となり、さらに起点が「マスクを被るとテニスに勝てる」という、漫画にしても非常識なものであるため、普通なら問題なく読める「漫画の常識(=桃城・海堂は体力精神力が取得だからマスクを被れる)」が非常識になってしまうことで、この異常な展開が作られているのではないでしょうか。うん、何を言ってるか伝わらないよね。僕もすごい苦しい。

でですね、今回は展開の面から見ても、すごい話なんですよ。
「覆面の上にさらに面白いことをやって競うんだろうな」と思っていた読者の予想を超えちゃったわけです。
うちの掲示板でも

>> 何にしろこの試合はここからどうマスクを処理するかですね。
>> ここまできたらマグネットパワーとかマスク狩りとかもやりかねないから恐ろしい。
>> しかしこれで普通に「マスクのせいで呼吸困難」とかもありえる話だしなぁ……。

と、ここまで予想した人はいて、許斐先生の思考にここまで近づけたのは見事としか言いようがないのですが、しかし、許斐先生はさらにその上を行き、「マスクのせいで呼吸困難」→「でもマスクを被る、被らなきゃ勝てない」というところにドラマ性を生み出すあたりが本当に狂ってると思うのです。
非常識の積み重ねで話を進めていくのではなく、非常識から常識へ揺り戻し、さらに非常識へと回帰することで一話作っちゃったわけで、この展開はすごいテクニックだと思うんですよね。なかなか思いつけることじゃない。

・「性懲りもなく覆面被りよった!?」
爆笑した。
でも、もう何が面白いのかも分からない!!!!!

・今週もっとも奇怪だった1コマ



稚拙な表現になるけれど、影を被っている一氏少年がすごくダークな存在に見えて、対する桃城・海堂がコート上に降り立ち優位を示す宇宙人ダブルスペアに見えたので、なんというか、コート上に人外しかいない、この世のものとは思えない感じを受けました。
この感覚、とても口ではいえないので、共感してもらえると嬉しいです。

・「おーっ、出たでぇ。ユージの『モノマネ』」
とにかくすごい。テニスはどこにいくんだろう。
ただ一つ間違いなく言えることは、彼のモノマネ能力とは相手と同じ動きができるとか、そういうチャチな能力ではなく、絶対にテニスに関係ない能力だと言うことです。
許斐先生、僕はあなたを信じてます!


ナルト

・表紙
これは「成長して背格好は変わったけど、中身は何も変わっていませんよ」ということを意味しているのでしょうか。

・シカマル「作戦を頭に入れたら、シミュレーションを頭の中で三回以上(ry」
言ってることは何一つ間違ってないんだけど、読んだ瞬間「うわっ、ダセー!」と思ってしまいました。
何で「ダサい」と思ったのか、ちょっと考えてみたんですが、中忍くらいの忍者がいまさらこんな初歩的なことをさも大事なことであるかのように口に出してるのがダサいのかな。
それか、こんな初歩的なことを言ったくらいで「シカマルはほらほら頭いいんですよー」って表現したい辺りがダサいのかも。

でもまあ、主な読者層が小中学生であることを考えると、口に出すべきことかもしれない。
忍者にとってイメトレは常識でも、小中学生はイメトレの大切さをあまり知らないだろうし。
ダサいと感じたのはそこのギャップなのかなー?

・変な巨像に尾獣を封印してる暁のみなさん
この変な巨像は尾獣の保管庫みたいなもので、別に巨像自体に意味はないということでしょうか。
言ってしまえば、巨像でなくても巨大な岩でも構わないの?
最初は「この巨像に全部の尾獣を封印したら動き出したりして世界が破滅で(ry」とかを読者は想像してたと思うんですが、暁の真の目的が多国籍企業の設立と分かってからは、この巨像の不気味さがなんとも不釣合いな気がします。
たとえば、もし仮にマイクロソフトが影で世界征服を企んで暗躍してたとしても、本社ビルにこんな巨像は作らないでしょ?

・うずまきナルトには気をつけろ
デイダラさんが警告すべきは、ナルトじゃなくてカカシ先生じゃないの?
デイダラ戦はよく覚えてないけど、カカシ先生が大活躍してた気がするよ。

・角都「わざわざ戻ると言った場所へ行って待ち伏せを食らう必要は無い」
あ、一応考える頭はあったんだ……。
シカマル側もそれは見越していたみたいだし、ここは岸本先生グッジョブ。
そういえば綱手さんは「戻ると言った場所に小隊を送る」みたいなことを言ってたんで、綱手さんに任せてたら普通にスルーされてそうだ。
少なくとも、あの役立たずペアに向かわせたら、絶対こんな頭は働かなかったろうな。
「あれー、戻ってくるって言ったのに来ないよー?」みたいな。
シカマル、グッジョブ。

・おんぶにだっこ

「それより影には気を付けておけ…」
「飛段、上だ!」
「飛段、かわせ!」

角都さんに気を遣われまくってる飛段さん。
デイダラさんも「気をつけろよ」って忠告してたし、暁において飛段さんは「もうーいっつも跳ね返っちゃって。ホントかわいいなあ。ハイハイ、僕たちがカバーしてあげますからねー」みたいな立場なんでしょうか。
「上だ!」とか「かわせ!」とか、そんなん言われなくてもそうする気がするけど、それでも声をかけなきゃ不安で仕方ない、きっと飛段さんはそういう人なんだ。
子供が外にでるたびに「知らない人に付いてっちゃダメよ」と注意するお母さんの気持ち。

・飛段「この起爆札はフェイク、紙切れか…」
飛段さんの説明はここまでで良かったんじゃないかな?
その後の説明は、読んでも「はぁ……そうなん?」くらいの印象しかないし、必要ない気がします。
特に「上からの攻撃をギリギリで気付かせて、ギリギリでかわさせ」の辺りが曖昧で、ウルキオラさんの「心理の檻」みたいな印象を受けました。
これ、言葉にしちゃったら「そんな曖昧なことでホントに成功すんのかよ?」って思っちゃうんですよね。

起爆札による先制、影の牽制、新兵器「影真似手裏剣」の三段構えだけでもシカマルが優秀な忍者であることは示せてるはず。
ここの説明はシカマルが単に優秀な忍者というだけでなく、「頭がキレるから優秀な忍者」ということを強調したいわけですが、前述の如く、この説明を読んでも「はぁ……そうなん?」くらいのものでしかないため、かえって逆効果になってる気がします。


リボーン

・死炎印
赤松さんによれば、これまでの死ぬ気オーラは

・身体能力の強化
・飛ぶ
・飛ばす
・燃やす
・バリヤー
・イメージ伝達
・燃料がわり

などに利用されていたというのですが、今回新たに「署名」が加わりました。
どんどん汎用性を増してゆく新時代エネルギー「死ぬ気オーラ」から目が離せません。
そのうち食べたりできるようになるよ、きっと。


ネウロ

手持ちの魔界能力はあと一つと明言し、読者に「一回ってムリじゃね?」「どのタイミングで使わせんの?」と思わせておいて、まったくもったいぶらずに直ちに使用。そして、そのままスフィンクスまで直行。
パスワード解説も後回しにして、わずか一週で原子力空母への潜入から、敵ボス心臓部まで到達しました。
すっげー、なんだこのスピーディーな展開。

スピーディーであることが逆にネウロのギリギリさを感じさせるし(「これしかないんだ!」って感じ)、しかし、そんなにギリギリなのに「最小のエネルギーで無傷で目的達成」を果たしているため、圧倒的存在であるはずのネウロの威厳も損なってません。
兵隊に破片を受け取らせ、それごとまとめて扉に押し付けバリケードにする辺りも見事で、全く無駄がない。
本気を出せば一瞬で終わったドルドーニ戦を数週に渡って描き続けたブリーチは見習うべきだと思います。


ブリーチ

・一護「くだらねえ」
読者みんながくだらないと思っていることにやっと気付いた主人公。
「それ以外のやつに卍解するようじゃダメだ」ってさっぱり意味が分からないぜ。
ネルもそうだけど、そもそも織姫はどうなんですか。
あなたがここでモタモタしてたせいで、ギリギリのタイミングで織姫がレイープされちゃうかもしれないんだよー。

・ドルドーニ「ぼうや達の現世での戦闘記録は全てこちらに届いている」
これといって意味のなかった第二次グリムジョー戦ですっかり奥の手がバレてる一護。
まあ全員自宅待機するような敵組織なんで、奥の手がバレたところでたいして不利にもならなそうだけど。
第二次グリムジョー戦は本当に一体なんの意味があったんだろう。

・ドルドーニ「それに比すれば全ての恥など無きに等しいものだよ」
なるほど。
だから最初に足を滑らせて盛大に落っこちながらも、何事もなかったかのように平然とカッコつけていられるわけですね。ポジティブだ。


エムゼロ

叶先生がまた領空侵犯を……!
顔面騎乗、そして、お股に這い寄る怪しい液体……
どう見てもToLOVEるです。本当にありがとうございました。

伊勢弟の妄想シーンはそんなにアンケが良かったのだろうか……。


ToLOVEる

ToLOVEるを評して、色んな人が「ララは恥じらいがないから萌えない」と言ってますが、今回はそんな人々の期待にお応えして「恥じらいのあるララ」バージョンです。
リトくんもみんなと一緒で「恥じらいのあるララ」なら萌えちゃうみたいですね。

しかし、恥じらいがあろうがなかろうが「全裸で抱きつき」→「パンツまるみえ」→「おっぱいボヨヨン」と、やってることはいつもと何ら変わりありません。
まるで長谷見先生に「ほらほら、おまえらララが恥らってればこれで萌えるんだろ~~? アァ~ン?」とバカにされてるかのよう。
まったく素晴らしいぜ、ToLOVEる。

でも、今週の話を見て改めて思いましたが、僕的にはララに恥じらいはいらないなー。ララの恥ずかしがってる顔を見ると、なんか悪いことをしてるような気持ちになるもん。
彼女は公衆の面前で何の意味もなくパンツを下げて、おまたパカーンくらいで丁度いいよ。


HAND'S

・主人公父「そのためだったら、引き抜きでもなんでもするぜ。なんせこっちは生活がかかってるもんでな…」

その覚悟を夜逃げ前に発揮して「新聞配達でも現場仕事でもなんでもするぜ」って言えば、大吾くんもヤクザに命を狙われずに済んだのにね。
息子を捨てて一人身になった途端、自分の生活を立て直そうとするなんて酷い話ですよ。


ムヒョ

・ムヒョ「全てはテメェが道具欲しさに仕掛けた茶番」
いや、確かに元凶はティキかもしれないけど、結局、魔法律協会が腐ってるから造反したことには何も変わりないんじゃ……。
今回はティキがけしかけた訳だけど、たとえこれが事故でもリオさんは魔法律協会を恨んでたと思うよ。
というか、火事とか病気でも同じ結果になったと思う。

リオ「母が病気になったんです、今なら助かるんです!」
            ↓
魔法律協会の医者「フン、あんたみたいな乳の大きな女の身内は看病しないよ」
            ↓
結局、誰も助けてくれずに母死亡
            ↓
リオ「魔法律協会、許さん!」

うん、根本的な原因はやっぱりティキじゃなくて魔法律協会だと思う。

・ロージー「リオ先生から奪ったもの全部返せ!! 全部元通りにして返せ!!」

ティキ「え、いや、ちょっと待ってよ! リオ母は禁書で復活できるかもしれないけど、全部はムリだよ。『人を信じる気持ち』とか『互いに助けあう心』とか『信頼できる仲間』とかは魔法律協会から返してもらってよ! そこらへんはオレ奪ってないよ!」


OVER TIME

最終回。
ファンの方には悪いけど、久しぶりに読んでて不快感を覚えた漫画なので、終わってくれてちょっとホッとしました。いちご100%みたいな感じ。

何が悪かったかって、やっぱりキチガイとか社会不適応者とか、そういうのを出しすぎたんだと思うんですよね。
中盤までは、それでも「何も見るところのない空気漫画だが、葵ちゃんだけはかわいい」と微妙にプラス評価だったんですが、堀田先輩が出てきてから評価が一転しました。
やっぱり、いきなり女の子を殴るやつが仲間になるとか、生理的に受け付けられないですよ。外道野球もあんまりにもあんまりだったですし。
それがいきなり「仲間になりました。根はいい人なんです」なんて言われても読者は付いていけないわけで、にもかかわらず、それ以降は「堀田さんはいい人だということで読んで下さい」みたいな押し付けられてる感じがして、それが不快だったのではないかと思うのです。
元不良が仲間になってチームメイトとして認められるのは、アイシールドのハァハァ三兄弟あたりが限界じゃないかなー。
彼らは弱みを握られて、かなり長い間、嫌々ながらアメフトに参加した後で、セナ=アイシールド21を知って、家庭内の事情とか描かれて、セナとも分かり合え、練習もがんばって、それでようやく真の仲間入りを果たした感じです。
堀田さんは彼らより断然酷いことをやっておきながら、ほとんど何も描かれず仲間入りしたわけで、そりゃあ付いていけないですよ。

そして、極めつけだったのが高森くん。
初回登場時は、それでもギリギリ「嫌な奴、憎たらしい奴、悪役」の域に納まっていたのですが、再登場してからはただのキチガイになってしまい、感情移入はもちろん漫画的な記号としてすらどう受け止めればいいのか分からない、ただただ不快なだけのキャラクターになってしまいました。
「くそう、こいつムカつくぜ。ぶっ飛ばしてー!」と読者に思わせれば敵役としては成功なのですが、高森くんの場合は「うわっ、こいつ気持ちワリィ。関わりたくないよう」と思わせてしまったので、これは失敗だと思うんですよね。
感覚としては、野球のマウンドに何故かキチガイが一人立っていて、さあどうしようかって感じ。
もう野球漫画じゃないんですよ。野球じゃなくて、マウンドにキチガイが一人立ってるだけ。

で、これは僕の個人的なことなんですが、高森くん描写のあまりのいたたまれなさに、作者への同情を通り越して、憂鬱になってしまいまして。
この感覚は何に例えればいいんだろう。
テニスの王子様を読んでいると、許斐先生が僕達の常識や予想を超えた突拍子もないことをして、僕達の認識の限界を突破し「世界にはまだまだこんなに可能性があるんだ!」と、言いようもない胸の高鳴りや頑張ろうという気持ちを与えてくれる、それの真逆のベクトルに位置するものがOVER TIMEだったと言えばお分かり頂けるのでしょうか。
一言でいうと「読んでて死にたくなった」。
正直、天野先生のセンスは杉田先生の足下にすら及んでないと思います。
中盤以降の展開はそれほど酷かった。

とはいえ、悪いところばかりが目につくものの、良いところがなかったかと言えば、そうとばかりも言い切れないわけで、「でも考えてみればオレだって鷹見くんと同じなんだよな」から始まる主人公のモノローグは、「既に死んでる人に影響されて人生の有限性に気付く主人公の成長ストーリー」というプロットが下敷きにあったことを示してますし、大きな流れ自体は整合性のある話を作ろうとしてたことが読み取れます。
ただ、ディティールがキチガイとか外道野球ばかりだったので、せっかくのお話が台無しになっていたんですが……。

天野先生は絵は綺麗なんだから、次は脳みそ付き(原作付き)で始めれば良いと思います。


まさかもう最終話だったとはビックリです。
一週のうちに2つ最終話って、僕がジャンプ感想書き出してから初めてじゃないかなぁ。
あと一週あると思ってたので、ちょっと残念でもあります。
その理由は後述。

・扉の斬
「ごはんを口に詰め込んでいる+貫木に驚いている」ことは分かっているけど、それにしてもすごくおかしな顔。

・斬vs討条、決着の瞬間! その時、月島は……!
月島さんの顔が徐々に迫ってきてるし、「む……」なんて言ってるから、次のページで「村山君!!」とか言いながら横槍を入れることを期待してたんですが、実際は叫んだだけでした。

まったく何やってんだこのヒロインは、オレたちの期待を裏切りやがって。
と、一瞬思ったのですが、決着の瞬間に叫ぶのって「ヒロインの大切な仕事」ですよね。
常識的に考えて何も間違ってないんだけど、この物足りなさは何なんだろう。

・討条「フッ、よく考えたものだな…」
これはよろしくないですねー。
自分の中で斬の評価が上がってきてるので、あえてまともに批評しますと、この決着はガッカリするほどヒドイ。
大ダメージを受けたはずの敵が、1ページ以上に渡り延々と解説してから倒れるなんてションボリですよ。
「そこで」とか言って、論の組み立てまでしっかり考えてから、瀕死の体で喋るなんてあんまりにもあんまりです。

ていうかね、これ、小学生でも考えそうな戦闘シーンなんですよ。
まるで工夫やがんばりが見られない。
そのやる気のなさに激しく失望してしまうのです。
これがシグルイなら最小限のナレーションを使い、実際に二人の剣の動きを見せながら、攻防をダイナミックに描いたはずです。
剣術漫画の全てがシグルイになる必要もないけど、こんなものしか描けないならテクを盗んでもいいんじゃないかなー。
最終戦がこれだなんてあんまりですよ。

しかし、貫木vs壊原や、斬vs刺々森はこれより遥かに良かったし、初期の斬vs貫木もコメディタッチではあったものの、もっと杉田先生のやる気が感じられました。
だから、今回のこれは杉田先生うんぬんというよりは、単純にページ数が足りなかったという可能性もあるんです。
あと一週あげればもう少しまともな最終決戦になったかもしれない。

でも、足りないのはページ数ではなく、やっぱり杉田先生のモチベーションだったのかもしれないけど。
そこまで壊滅的にセンスがない作家だとも思わないので、やっぱりやる気かなぁ、足りなかったのは。

・「僕はこれからも頑張っていきたいと思う……。本物の武士になるために!!」

頑張っていきたいと思う……

いやいや、小学生の「とても楽しかったです」「すごくかわいそうだとおもいました」じゃないんだから、「がんばっていきたいとおもいます」はどうかと思いますよ。
OVER TIMEの最後のポエムが効果的だったとは思わないけど、最後なんだし、もう少し工夫を凝らそうと思うところじゃないですか?
やっぱり杉田先生、打ち切りになってモチベがなくなっちゃったんじゃないかなあ。

・柱「村山斬よ、永遠に……!!」

「あれ!」
「なんだ?」
「…………」

校門には、彼らが共に戦った戦友、村山斬の姿があった。

「ただいま、みんな!」

校舎を飛び出し、斬に駆け寄る三人。

「村山、お前……」
「村山君……!」

「みんな、僕はこれからも頑張っていきたいと思ってるんだ。本物の武士になるために…!」

「村山君……ぐすっ、ぐすっ!」
「斬、お前、どうして……!?」

おかしい。久しぶりの再会なのにみんなの顔は暗い。

「え? 月島さん、なんで泣いてるの? 僕がんばるよ! 本物の武士になるために、これからもがんばるよ!」

「斬…! おまえは、おまえはもう、がんばらなくていいんだ……!」
「そうよ。もう……ゆっくりしていいのよ…村山君……!」

「ちょ、みんな、何を言ってるんだい! 僕、これからも頑張るって。命ある限り、本物の侍を目指して――」

「村山、お前、やっぱり気付いてないのか……」
「村山君! あなたはあの時の戦いで……」
「お前はもう……死んでるんだ……!」

「そ、そんな……! 何をいってるんだい、みんな! だって、僕は、現にこうして生きてるじゃ……あ、あれ?」

斬が差し伸ばした手は友人たちに触れることもなく、ただ空を掴むばかりだ。

「なん…だって……、そんな、僕は、まだ、まだ死んでない……」

「村山君、お願いだから成仏して……」
「村山! お前の気持ちは分かる、だが……!」

「僕は…本当に……」

斬の姿がどんどん薄くなっていく。

「そうか……本当に、僕は死んでたんだね……。月島さん、あの時、怪我はなかったかい? キミだけでも助けることができて良かった……」

「うん、村山君の…おかげだよ……ぐすっ」

「貫木くん、君には色々と助けてもらった。月島さんは、まだ生徒会に狙われてる。彼女のこと、後は頼んでもいいかな……?」

「当たり前じゃねえか、バカやろう! 最期に、水くさいこと…言ってんじゃ…ねェよ……!」

「刺々森くん、短い間だったけど、キミと友達になれて、本当に良かった……」

「オレ…オレもだぜ……」

「じゃあ、みんな。これで、本当にお別れだね。さようなら……バイバイ」

「斬……!」

「村山……!!!」

「村山君ッ!!!」

村山斬は友人たちに最期の言葉を残し消えていった。
それは彼らが見た真昼の夢かもしれない。
だが、彼らの心の中で村山斬はいつまでも生き続けるのだ。
村山斬よ、永遠に…!

(↑と、いうことを、柱で言いたいのかと思った)



【過去ログ】

【カテゴリー】

TOPアドレス
当サイトのTOPアドレスは
http://dansyaku.cagami.net/
です。
管理人:かがみ
パンクロッカーで作家。忙しくてもジャンプは読むよ。許斐剛先生を尊敬してます。

好きな漫画:テニスの王子様
好きな映画:テニスの王子様
好きなアニメ:テニスの王子様
【僕の本】

kaiketu_mini.jpg

[NEW!]
ダンゲロス1969
HP / amazon


kaiketu_mini.jpg

怪傑教師列伝ダンゲロス
amazon


bakadark_mini.jpg

戦慄怪奇学園ダンゲロス
amazon


bakadark_mini.jpg

ダンゲロス・ベースボール
amazon


bakadark_mini.jpg

「バカダークファンタジー」としての聖書入門
HP / amazon


jingi_mini.jpg

かわいい☆キリスト教のほん
HP / amazon


jingi_mini.jpg

作ってあげたいコンドームごはん
(amazon


jingi_mini.jpg

仁義なきキリスト教史
HP / amazon



飛行迷宮学園ダンゲロス
HP / amazon



新装版完全パンクマニュアル
HP / amazon



戦闘破壊学園ダンゲロス
HP / amazon



もしリアルパンクロッカーが
仏門に入ったら
HP / amazon



完全教祖マニュアル
HP / amazon



よいこの君主論
HP / amazon



テニスの王子様
[全国大会編]
爆笑・恐怖・激闘
完全記録

HP / 販売サイト



完全恋愛必勝マニュアル
HP / amazon



完全HIPHOPマニュアル
HP/amazon



完全覇道マニュアル
HP/amazon




完全パンクマニュアル
HP/amazon

amazonならびに全国書店にてひっそりと販売中。
【最新のエントリ】


誰でもどこでもLINK FREE!