黒鈴さんから「ゾンビ・オブ・ザ・デッド」を借りたので見てみましたよ。
「これまで見た中で最もつまらない映画は『チアリーダー忍者』だ」と常々公言している僕ですが、「いや、これはきっとチアリーダー忍者以上ですよ」と黒鈴さん。黒鈴さんはチアリーダー忍者を見ていないらしいので、「いやーチアリーダー忍者より酷いことはないだろー」と思いながらも見てみました。
で、結論から言うと全然アリです。チアリーダー忍者より2ランクは上の作品ですね。そりゃあストーリーはスカスカだし、緊張感はないし、一応ゾンビ映画だけど何一つ怖くないし、スリリングなシーンは皆無だし、スプラッター描写もへなちょこだし、どう見ても学生映画なんですけど、それでも「ストーリーが理解できる」という一点において、チアリーダー忍者より遥かにマシな作品です。
また、舞台がほとんど学校(大学?)なことから「おそらく学生の自主制作映画だろう」と思っていたんですが、監督本人による音声解説バージョンによると、どうやら高校生の時に作った処女作品らしいです。僕も学生時代にショートフィルムなど作ってましたので、その経験から言うと、高校生の、しかも処女作品でこのクオリティはむしろ奇跡的な出来と言えるでしょう。
とはいえ、この作品はしょせん学生の自主制作映画。普通のホラー映画を期待して見るとちっとも楽しめません。この映画の楽しみ方は「高校生の目線で見る」ことです。もし自分が高校生で、限られた予算や技術力でホラーを撮るとしたらどうするのか、そんなことを考えながらこの映画を見ると、撮影した高校生たちにすごく感情移入できるのです。「こんなに学校汚しちゃって怒られないのかなあ」「このマスクは予算かけすぎじゃないの? お小遣い大丈夫かなあ」。こんなことを考えながら、お父さんお母さんの気持ちになって見るのが正解だと思います。ほんわかします。
そして、このDVDの珠玉は監督自身による音声解説モードです。背伸びして長編ホラーを撮った高校生の飾り気の無い本音がすごく心地よいのです。例えば、本編にはまるで関係のないイグアナが映ってるシーンでは「ここのイグアナは人間を見ても逃げないんだ。かわいいから入れちゃった」とか言ってるし、研究室を血糊で汚したシーンでは「後でワインを持って謝りに行きました」。寮のシーンでは「スタッフの弟の部屋を使ったんだけど、すごく嫌がってた」「左下に本のようなものがあるけど、あれ台本なんだよね。映っちゃった」とまあ、こんな感じ。なお、劇中でヒロインがゾンビから逃げる途中、せっかく持っていた武器(ナタ)を使わないまま落としちゃうんですけど、「撮影中、副校長に見つかっちゃって『学校で武器を使うな』って没収されたんです」という理由が明かされます。最高ですね。
他にも、ゾンビが人を殺した後「やったー」って感じで臓物を掲げるシーンがかわいいし、殺害シーンで画面が赤くなり、なぜかドラが「ゴォ~ン」と鳴る謎のエフェクトが面白かったり、ゾンビが鎌を振るうシーンがどう見ても草かりにしか見えないなど、とてもハートフルな映画に仕上がっています。日本語吹き替えバージョンのくだらなさも作品の雰囲気を一新しており、ぜんぜん別の映画みたいに楽しめます。時間が許すなら、字幕、吹き替え、音声解説の三通りを楽しめますね。学生時代に映画を撮った経験のある人には特にオススメできます。
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しかし、今回もチアリーダー忍者を下回ることはできませんでした。チアリーダー忍者より酷い作品ってあるのかなぁ。言っておきますがチアリーダー忍者はエド・ウッド作品なんてメじゃないですよ。面白いとか面白くないとかの次元ではなく、あれは既に禅に達してる気がする。チアリーダー忍者を見た人で「もっと酷い映画を知っている!」という人は教えて下さい。見るかどうかは確約しないけど。


















