「涅槃姫みどろ」を読んでみましたよ。
涅槃姫みどろはオカルトの能力を持つ主人公みどろさんが、いろんな事件を解決(主にバッドエンド)していく漫画です。
基本的な流れや雰囲気はホラーMでやってるホラー漫画と同じようなものなのですが、この漫画には一点だけ凄まじいオリジナリティがあります。
『厄いわ』
この「厄い」という謎の形容詞の頻出が、「涅槃姫みどろ」を他の漫画と画しているポイントと言って良いでしょう。この「厄い」は極めて多様な使われ方をします。一例を挙げると・・・
「もっと厄い獲物を用意しとくわ」
「あっちが厄いわ…」
「あの辺が特に厄いわ…」
「厄い話してるわね」
「山は……厄いわ」
「あなた厄いわね」
「厄い絵にはご用心ね…」
「厄い本でしょ?」
「ここ、なかなか厄い空間ね」
「霊的に危険な」というニュアンスが一番近いのかもしれませんが、イヤリングを見たときに、「厄いデザインね」という使い方もしており、ここまで来ると「カワイイ」と同じくらいの意味合いで使われてる気がします。
ともあれ、読者もこれだけ「厄い」「厄い」と連発されると、「次はいつ『厄い』が出るのか」と身構えるようになります。そんなある時、みどろさんがラーメンの感想を求められました。すると……
『イケてるわ』
当然「厄いラーメンね」など言うと思っていたのでビックリ。作者の高度なフェイントに1分くらい爆笑してしまいました。
作者のフェイントに爆笑したのは僕だけではないようです。どうもネット上では、「厄い」はもとより「イケてるわ」も流行語となっており、「この世のすべては『厄い』と『イケてる』で表現可能」とまで断定する人も出てくる程です。また、クレヨンしんちゃんの次回予告でも『厄いわね』『イケてるわ』が使われた模様。なんだか大人気です。
オムニバスホラーとしてのクオリティは並でも、これらの台詞を見てるだけでニヤニヤできるので、一読の価値はあると思いますよ。