2017年の反省と2018年の抱負

   

・2017年は、前半期はクソの中のクソだと思っていたが、振り返ってみれば躍進の年であったと言えるだろう。塞翁が馬である。
 
 
<2017年のあれこれ>

・『こころオブ・ザ・デッド』が打ち切られた

 これには関係者全員が衝撃を受けた。なんでこれが売れなかったのかはイマイチ分からない。まあ、今となっては、おそらくこれだろうという理由はなくもないが……。しかし、それも含めてXファクターである。作品の売れる売れないには何かが関係している。
 
 
トークメーカーでの座談会

 トークメーカーは面白い場であった。それで、座談会でも色々な情報を得たのだが、様々なクリエイターに話を聞くと、やはり「売れる可能性はせいぜい3割」という声が多い。「自信のある作品を作ったとしてもヒットする確率は3割」というのは、皆も一つの指標として覚えておいた方が良いだろう。仮にワンピースみたいな作品が作れたとしても、それで直ちに会社に辞表を叩き付けるのは早計である。ワンピースだって掲載誌や時期が違えば、おそらく7割の確率で打ち切りになっていたのではないだろうか。

 Xファクターにより7割の作品が売れなくなっているとすれば、このXファクターをどこまで解明し、把握できるか、という点に私の関心が集中する。このXファクターは従来は編集者や営業などが努力すべき事柄であったが、このご時世、もはやそんな呑気なことは言ってられないというのが私の所感である。

 座談会の様子は色んな電子書籍になってるので(これ以外にも色々ある)、アンリミ会員なら無料で読めるし、興味があったらパラ見してみて欲しい。

 さらにその流れで、至道先生と共著で新書も出している。人生全体の概略図である。これは高校生くらいの人には一度読んでみて欲しいなぁ。
  
  
・ダンゲロスボードゲーム

 昨年が躍進のきっかけとなった一つには間違いなくこれがある。

 前半期、特に5月のゲムマ前の私は愕然としていた。かけた労力に対しての見込み収益がものすごく少なく、しかも、それは「ゲームがちゃんと売れたら」という前提であって、「こんだけ頑張って、理想的にゲームが売れて、それで稼ぎがこれだけ……??? 地獄……!」と思っていたのだ。

 しかし、結果としては、クラウドファンディングもボードゲームの売上も「大成功」と言っていいレベルで成功し、お金の方もなんだかんだで色々やった結果、まあまあ儲かったし、人脈もすごく作れたし、次にも繋がってるし、何よりも、前半期での一連の失敗を経て、私の中でビジネス感覚が若干なりとも生まれ始め、また、宣伝の重要性を認識できたことが大きい。「採算を合わせる」「自分の利益を確保する」「宣伝量と売上はある程度まで単純に比例する」などを理解できた。これらの理解を得る過程でメンター的な人たちからはだいぶ叱られたが(この歳になって自分の能力の欠如を直視するのはなかなかキツいものがあった)、しかし、失敗と言っても、世間的には大成功と言っていいレベルであって、物質的なレベルでの帳尻は気合と労働量で何とか合わせることができたし、肉体及び精神的疲労を別にすれば結果としては得るものしかなかったと言えるだろう。まあ、これもあくまで結果論であるので、こんな危なっかしいビジネスをして、それを滅茶苦茶な労働量で補うようなスタイルはもう止めた方が良い。私は学んだ。

 ちなみにゲームの方は非常に良いものができたと自負している。むちゃくちゃ面白い。私は基本的に自分の小説が一番おもしろいと思ってるし、自分の漫画が一番おもしろいし、自分の作ったゲームが一番楽しい人間なので、あまり参考にならないかもしれないが、すごく面白いので、みんなにも遊んでみて欲しい。ちなみに今はとらのあなに残り在庫が若干あります。

 拡張もいろいろ出ているよ。しかし、他人の評価は別として、少なくとも自分が最高に面白いと思うものを毎回なんだかんだ作れているのは、我ながら大したものだなと思う。少なくとも自分は遊んでて大満足だ。まあ、このゲームデザインに関しては監修の江見さんの力も大きいのだが、人のアドバイスを素直に聞くのも才能なので、そこも含めて私の力量で間違いない。
 
 
・マンガ新連載研究会

 ボードゲーム制作を通じて培ったビジネスセンス(と言うと、至道先生に鼻で笑われそうだが)が思わぬ形で役立ったのが、オンラインサロン「マンガ新連載研究会」である。

 最初にごとう先生から誘われた時には、ちょっとしたバイト気分、客寄せパンダの気持ちだったのだが、今ではすっかりフルコミットである。当初はマンガ制作の、主に内容面に関する議題を扱う予定であったが(今もそれはメインではあるのだが)、ボードゲーム制作を通じて、私がコネクション形成や採算の合わせ方、広告宣伝手法など様々な技術や視点を手に入れていたため、それらを使って、ごとう先生と共に精力的に活動した結果、今や会員数は160名を越えて、オンラインサロンとしても「成功」と言って良い部類にまで成長した。最初は「努力目標として100人」などと言っていたわれわれであったが今やその数字は遥かに突破している。どうやって会員を増やせばいいのか、闇の中で悪戦苦闘していた日々から、よくここまで来たものである。

 躍進のきっかけは、やはり公開イベントであろう。ごとう先生の講義による地道な会員獲得とイベントが両輪となって機能した。横山了一先生にご登壇頂いた「漫画家がSNSでメシを食う方法」、中川元太さん、やしろあずき先生にご登壇頂いた「漫画家のためのビジネススキル基礎講座」など、いずれも「宣伝」や「ビジネス観点」など、これらの企画・運営に関してボードゲームでの経験が活きていた。これらはむろん講師あっての内容ではあるが、私にいくらかのビジネス的素養がなければ、これらをディレクションすることも容易ではなかったはずだ。

『その表紙では漫画は売れない! ~ジャケ買いされる表紙の作り方~』

 そして、今はこちらのイベントを実施準備中である。7割の作品を売れなくさせているXファクターの一つである「表紙」をやっつけるための講演会だ。1/14に行うので、皆さん来て下さいね。特に編集者の方に来て欲しい。表紙デザインの問題には作家一人では立ち向かえないからだ。

 閑話休題。しかし、マンガ新連載研究会の活動を通じて得た、最も大きなものは、「おれはなんだかんだゼロから金を作る能力がある」という自負である。今までの私は基本的には出版社に依存していた。出版社から本が出せなければ、依頼が来なくなれば、どうやってお金を作ればいいのか基本的には分からなかった(まあKindleとかアフィリエイトとかこれまでも色々自力でも稼いできたんだけど)。しかし、企画し、宣伝し、運営し、自分の取り分を確保する、という一連の作業を何度か繰り返すことにより、「いざとなれば誰に依頼されずとも金は作れる」という自負を得た。これで精神的にすごく楽になった。私の人生は、おそらく、ぶっちゃけもう、どうにでもなる。それだけの人的資本・社会資本がいつの間にか培われていたのだ。特に人的資本に関してはボードゲーム事業に500万円ぶっこんだのが大きい。ここから多くのことを学んだ。今年の前半は本当に大変だったが、結果としては十分な見返りがあったと言える。
 
 
<まとめと反省>

・「おれはすごいやつだ」と前々から薄々思ってはいたが、思った以上に自分がすごいことが分かったのが2017年であったと言えるだろう。本当にすごいやつだ。よくまあ、あんなクソみたいな状況からここまで持ち直したものだ。すごいなぁ。トータルで考えると年収とか酷いことになってるので、まあ、冷静に考えるとすごくないのかもしれないが、こうやって自分をすぐに甘やかせる能力もすごい気がする。自分を褒めて伸ばす才能というか。

・しかしまあ、客観的に言っても、小規模のビジネスを成功させる能力は結構あるのではなかろうか。クラウドファンディング、ボードゲーム、各種講演会イベント、交流会、オンラインサロンと、関わったものはだいたい成功している。書籍(「こころ」)に関してだけは、まあ失敗だろう。ここから分析するに、おそらく、自力の宣伝力などでカバーできる規模のビジネスに関しては私は現状でもそこそこやれるのではないか。比較的少数の客層を対象にビジネスをするのが、今後の方針としては良い気がする。

・ただ、それは私の労働量投下が前提となっているので、この点は何とかしていきたいものだ。昨年の目標であった一日四時間労働はまったく、一切、ぜんぜん達成できなかった。どうかすると毎日十二時間とか働いていたし、どうすれば四時間労働を達成できるのか、いまだに全く目処が立たない。しかし、今年も目標は一日四時間労働で行きたいと思う。四時間働いた時点で家中の回線を全て切断するのが、最も確実な現実方法ではあるのだろうが……。

・あと、仕事がイベンターに傾いてきたので、打ち合わせが必然的に多くなり(2017年後半の私は打ち合わせと調整メールばかりしていた)、家で夕食を食べる機会が激減したのも良くなかった。この点は強く反省して、今年はできるだけ妻と一緒に夕食を食べれるようにして行きたい。

<今年の抱負>

・一日四時間労働
・週5で夕食を家で食べる

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