【5/22】わんぱく相撲×概念獲得バトル

   

朝:雑炊、キュウリ詰めちくわ
昼:ちゃんこ、カレー
夜:塩ラーメン

・中野体育館で開かれたわんぱく相撲を観に行ってみた。なんだか疲労で心が荒んでいたので私には癒やしが必要だったのだ。

・小学生たちが相撲を取る姿を見ればきっと癒されるに違いない……そう思っていた私だが、現地ではそんなものよりも遥かに素晴らしい物を発見することになる。そう、小学生以下の幼児の相撲だ。
 
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 はっけよーい……
 
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 のこった??

・熱心な架神恭介ファンであれば、私が幼児の認知発達過程に多大な興味を持っており、生まれ変わったら幼児心理学者になりたいと考えていることはご存知のとおりであろう。そんな私だからこれは非常にエキサイティングな代物であった。

・大体一割くらいの確率で「相撲の概念を理解できないまま試合が始まってしまう」取組が発生するのだ。上の女の子たちは試合開始までは見よう見まねでそれっぽい格好をしているが、始まって相手に抱きついてからは何をすればいいのか分からずに抱き合ったままぼんやりして、周りの大人を見上げたりしている。ちょうかわいい。

・この「何をすればいいの?」モードになると、幼児たちは延々と土俵上で抱き合ったまま、よく分からない感じで一緒にフラフラと動き始める。周りの大人たちが必死にジェスチャーで相撲の競技性を伝えようとするのだが、それでもよく分からずにフラフラ、フラフラと行ったり来たり。全然試合が終わらない。「この試合、一体どうなってしまうんだ……!」と変な意味で手に汗握る。相撲が成立するか、しないか、というスリリングさがあり、私は相撲を理解して無さそうな子たちの取組が始まると身を乗り出してビデオ録画していた。

・不思議なもので、大抵の幼児たちは一度組み合ってしまえば「力比べ」という競技性を理解するのか、小さな子でもそれなりに相撲の形になる。だが、一割の子供たちは「なぜ相手を押さなければならないのか」理解できないらしい。相撲の形にならなかった取組が一割あったというだけなので、実際は「理解できないまま一瞬で負けた」幼児たちはもっといたと思う。

・「概念を獲得した方が勝つ」という、なんだか能力バトルみたいな側面もあった。

・また、一方の子供が競技性を理解していても、相手の子が理解していない場合、最初は理解している子が必死に相手を押すのだが、相手の子がぼんやりし続けていると、理解している側も不安になってくるのか、押す腕に力がこもらなくなり、周りの大人たちをキョロキョロ見ながら不安そうな顔をする。「こ、これでいいんだよね……?」みたいな。

・考えてみれば、「相手を押し倒す」というのは非常に暴力的な行動である。それが競技性の枠の中にあればこそ、幼児たちもその暴力行為を行えるのだ。「競技ではない」=「暴力行為である」ことに対して、彼らは幼いながらも、暴力への本能的な忌避感なのか、それまでの周囲の躾なのか、ともかくためらいを見せるだけの倫理性を発揮するのである。

・別の意味で相撲が成立していない取組もあって、こちらもグッと来るものがあった。

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 果たしてこれを相撲と呼んでいいのだろうか。

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 もはやどこで勝負が付くのかさっぱり分からない取組である。

・この手の、「保護者が付いての相撲」では、仕切り線までは行くものの、試合開始と同時に泣き出して、お母さんに抱きついて不戦敗になる試合や、お母さんたちが必死に子供たちに相撲概念を伝えようとするも、仕切り線についた二人の子供が結局最後まで概念を理解しえずに試合不成立で終了する場合もあった。ドキドキした。

・というわけで、わんぱく相撲とは、ものすごく興味深く、そして癒される催しなのである。これを見た後では小学生の相撲なんかどうでも良くなってしまった。皆さんも地元でわんぱく相撲が開催されていたらぜひ見てみて欲しい。タダだしね。

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