【マンガ新連載研究会】『終極エンゲージ』を読む【主人公の立て方の新しい形】

   

 マンガ新連載研究会出張ラジオ、今週はジャンプ+から新連載漫画『終極エンゲージ』(江藤俊司/三輪ヨシユキ)を取り上げました。

・かがみ「ごとう先生には色々と文句を付けたいところがあるんですよね!?」(3:03)
・「その世界に行ってみたい魅力」が必要(4:20)
・しかし、ファンタジーにはリアリティも必要。「不都合」の存在(6:16)
・「ちょっと嫌な世界」であることと「魅力的な世界」の両立(8:34)
・既存のルールを破壊しようとすると物語にパワーが生まれる(10:29)
・「都合の良いもの」を作っておいて破壊する(15:00)
・かがみ「お母ちゃんはなんでノーダメージだったの?」(18:25)
・かがみ「人魚ってリアルに出てきたら愛せないですよ。下半身魚ですよ!?」(21:34)
・「早めに出して短く立てる」通常の主人公のキャラ立てとは異質な方法(27:01)
・父から息子への「感情の引き継ぎ」により、主人公の感情を追わせる(28:43)

・まあ、皆さんご存知のとおり、江藤とは10年来の友人なので、遠慮せずガンガン行きますぜ。

・でもまあ、文句つけるトコ、そんななかったんですけどね。

・さて、今回の分析で面白かったのは「主人公のキャラ立て」。私の中でも急速にこの辺りの理論化が固まってきてまして、やはり主人公のキャラ立ての基本は「早く出して」「速やかに立てる」なのだけど、今作はその基本をブッチ切って搦手を使ってきた。そしてちゃんと成り立っている。

・やっぱり「基本」とか「理論」とかが固まってくると、方法論が見えてくる喜びと同時に、創作の可能性が狭まっていくような悲しさも覚えるもんなんですよ。そういう時にこうやって、その基本を知りながらも、あえてブチ破ってくるような作品を見ると、なんか勇気のようなものを与えられるんですな。でもまあそんなことをしみじみ感じるのは、ある程度方法論を意識するようになった人間だけなので、あまり共感はされないとも思う。

・ま-、しかし、『腹ペコのマリー』『Dr.STONE』『終極エンゲージ』と続けてきて、一つはっきりと見えてきたことは、どの作品も「主人公の感情を追いやすい」という点ではないでしょうか。少なくとも編集部はそこを意識していると思う。なので、とりあえず「新連載を始められる」ということだけを考えても、そこはきっちり抑えておくに越したことはないのではないかー。

マンガ新連載研究会では、こういった研究をさらに半日がかりでガッツリと行っています(毎月一回)。クリエイター向けの内容であることは実際否めない。しかし、漫画家はもちろんのこと、小説家志望者などにも明らかに勉強になる内容なので、臆さず来てみてね。単純に楽しいよ。あと、ごとう先生が優しい。

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